既刊一覧 121件

最後の漂海民

辺境の海(=東シナ海)を駆け巡った無告の「海人(かいじん)」たちへの挽歌。甦る海人の系譜(白水郎(あま)―海夫(かいふ)―家船(えぶね))と環東シナ海交易圏(博多~琉球列島~中国・寧波~朝鮮半島)。
年間のほとんどを船の上で暮らした家船(長崎県西海市を拠点とした海人)と対馬の海女たちからの聞き書きをもとに、海に生きた人々の漁法、交易の方法、暮らしぶりから安徳天皇伝説・船霊信仰等民俗学的考察まで、海からの視点でまとめられた海洋文化論。環東シナ海をめぐる交易の多様さが浮かびあがる。

  • 四六判/220ページ/並製
  • 978-4-86329-167-6
  • 定価 1800円 (+税)
  • 2018年2月発行
西南戦争 民衆の記

西南戦争(明治10年、1877)を、民衆側、特に戦場となり惨禍を被った人々の側から描く。
西南戦争とは何だったのかを民衆側の視点から徹底して問い直す力作。この戦争がいわば見世物であったこと(新聞、錦絵がよく売れて、芝居の題材にもなった)。さまざまな商売が繁盛し戦争バブルが発生したこと。戦争と並行する形で農民一揆が起きたが、その一揆勢は官軍や薩軍には加わっていないということ。戦争で広まった病気(コレラ、天然痘など)が流行したこと――など、戦場のリアル(現実)を克明に描くことで、「戦争」の本質(憎悪、狂気、人的・物的な多大なる損失)を改めてうったえかける。

  • 四六判/288頁/並製
  • 978-4-86329-163-8
  • 定価 2200円 (+税)
  • 2018年1月発行
夜ノ果ててのひらにのせ

かじかむ指で海辺に転がる貝殻を耳に当てる
ちいさい頃に聴いた海の響きとは違う音がする
それは
「さみしい」
と言いつづけることにあきあきした少女が
世界中を吸い込もうとしている音だった(本文より)

「わたしたち きょうだけはあしたをむかえたい」
時をこえ、空間をこえ、記憶をこえて―――――つながる。
くり返す、新しい夜 二十五夜。
第三詩集にして、著者初の連作詩。
 
 

  • 四六判/128頁/上製
  • 978-4-86329-160-7
  • 定価 1800円 (+税)
  • 2017年11月発行
反戦映画からの声

世代をこえて、戦争の記憶を物語る。42本の反戦映画がリアルに描く戦前・戦中・戦後の実相を読み解く。

時代はいつでも、小さなことがきっかけとなり、全体主義の貌に変わりうるということを過去の反戦映画を読みとくことで伝える。思想弾圧、戦中の狂気、特攻という悲劇、ヒロシマ・ナガサキ(原爆)、戦後難民となった引揚者、8・15から東京裁判――42本の反戦映画は活字とは違ったリアルさで戦争の記憶を物語る。人間性と平穏な暮らしを破壊して何も産み出さない〈戦争〉とは何なのか。国家と個人、権力と民衆に思いをはせて、平和を守る覚悟を新たにする願いを込めた一冊。

  • A5判/220頁/並製
  • 978-4-86329-162-1
  • 定価 1900円 (+税)
  • 2017年12月発行
〈水俣病〉事件の61年

ひとつの公害病として、水俣病が公式に確認(1956)されてから今年(2017)で61年がたつ。この間、水俣病闘争、見舞金契約、認定問題など政治的社会的にさまざまな動きがあった。それは今も続いており、胎児性水俣病などを含めて世界的に水銀汚染が問題になっている。しかし、水俣病はその大半が未解明のままなのである。本書は、初心者も含めて、「水俣病」の病名、メチル水銀汚染の海域の範囲、毛髪水銀値からみた健康影響、社会的な「認定」と医学的な「診断」の違いなど未解明の問題点を講義した、その記録集。

  • A5判/240頁/並製
  • 978-4-86329-161-4
  • 定価 2200円 (+税)
  • 2017年11月発行
死民と日常

著者初の水俣病闘争論集ー水俣病問題の原点がここにある。
裁判闘争でもなく公害闘争でもない水俣病闘争とは何だったのかー
昭和31年(1956)、水俣病が公式に確認されてから2017年で61年がたつ。この長い事件史の中で、企業・行政の責任、謝罪・補償、患者認定の制度、被害の状況・対策など様々な問題が全国的に取りあげられる原点となった出来ごとが、本書のテーマ「水俣病闘争」である。昭和44年(1969)、いかなる支援も受けられず孤立した患者家族らと立ち上がり、〈闘争〉を支援することに徹した著者による初の闘争論集。当初、患者たちはチッソに対して何を求めたのか。市民運動とは一線を画した〈闘争〉の本質を改めて語る注目の一冊。

  • 四六判/288頁/上製
  • 978-4-86329-146-1
  • 定価 2300円 (+税)
  • 2017年11月発行
メタファー思考は科学の母

「科学」と「文学」の対立を越えて。
言語習得以前の思考=メタファー(隠喩)思考なくして論理も科学も発達しない。もともと脳に備わっているといわれるメタファー思考が科学的思考へと発展するためには、「文学的思考」が最も重要で、すべての思考の基礎に「文学的思考」があることを脳科学、認知科学、発達心理学、精神分析の観点から多角的に説く。昨今の教育界の「科学」を重視し「文学」を軽視する風潮に警鐘を鳴らす。

  • 四六判/232頁/並製
  • 978-4-86329-157-7
  • 定価 1900円 (+税)
  • 2017年10月発行
日韓メモリー・ウォーズ

〈ずれ〉と〈ゆがみ〉の根源へ――日本と韓国の間に横たわる認知ギャップを探る。
『帝国の慰安婦』の著者・朴裕河(パク・ユハ)氏が騒動の最中に登壇。自著について、過去とこれからの日韓関係について、上野氏らと語りあったシンポジウム(2016年3月)をもとにまとめた一冊。植民地時代、冷戦時代、ポスト冷戦時代、そして現代――揺れ動いてきた日韓関係。慰安婦や領土問題を政治、文化、メディア、インターネットなどのキーワードで読み解く。「真実は何かに執着するより、共有しうる事実を〈どう考えるか〉」

  • 四六判/160頁/並製
  • 978-4-86329-156-0
  • 定価 1700円 (+税)
  • 2017年9月発行
忘却の引揚げ史

戦後日本の再生は、ここから始まる。
いわゆる戦争問題は、本土大空襲、原爆、沖縄戦を中心に語られることが多い。さらに、戦後史の重要問題として、「敗戦後の引揚げ」があるが、この問題はほとんど研究対象にならず忘却されてきた。
本書は、戦後最大の戦争犠牲者=引揚げ者の苦難のうち、大陸でソ連軍等から性暴行を受けた日本の女性たちを救護(中絶処置、性病治療)し、戦後を再出発させた人々に光をあてた労作。さらに、その中心人物で、〈災害人類学〉の先駆者・泉靖一を再評価する。

  • 四六判/340頁/並製
  • 978-4-86329-155-3
  • 定価 2200円 (+税)
  • 2017年7月発行
玄洋社とは何者か

近代史の穴・玄洋社の素顔に迫る。
近代史の重要な局面には、必ず玄洋社の活動がある。玄洋社を正確に評価できなければ、近代史の流れを正確につかむことはできない。自由民権運動、日清・日露戦争、孫文の辛亥革命、昭和維新事件、鉄道敷設と関門海底トンネル、東京オリンピックなど、具体的な資料、日記、関係者への聞きとり、海外からの研究者らとの交流を通して、従前の玄洋社に対する評価を是正することをめざしてまとめられた一冊。
戦後、GHQによって「戦争犯罪の一翼をになったテロリスト集団」と決めつけられた、その虚像を、「玄洋社は自由民権団体であった」という実像へと修正していく。

  • 四六判/248頁/並製
  • 978-4-86329-154-6
  • 定価 2000円 (+税)
  • 2017年6月発行
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