弦書房週報 第27号

◆故郷を想う気持ちの強さを形にする
 9月9日、熊本県天草へ行ってきた。『天草100景』(定価2200円)という本が出来たばかりで、それを著者の小林健浩氏に届けることと書店と新聞社への宣伝もかねての出張である。
 この本は写真集であり、ガイドブックでもあり、歴史的な記述もあり、ひじょうによく考えられた構成になっている。生まれ故郷の天草へもどってきたのが16年前の1994年。以来16年間、今の天草を、キリシタンだけではない多くの魅力(祭りや暮らし、自然の風物)を含めて撮り続けている。2011年に九州新幹線が開通することを機にひとつの節目としてこれこそがわが故郷という気持ちをまとめたのが本書である。小林さんは自分が書いた本にどこまでも愛着と責任を持っている。写真の撮影もすばらしいが、営業力もまたすごい。自治体や大企業の力をいっさいあてにしない姿勢がいい。見習うべき点が多く、会うのがいつも楽しみな著者のひとりである。

(表示定価は全て税込)