file1 萬代橋

市原猛志

【萬代橋(1929年竣工)新潟市中央区】

 もう10年ほど前になるだろうか、東京から北陸地方を一周する建築行脚の旅の初日、上野駅発の夜行快速「ムーンライトえちご」に乗って午前4時過ぎに新潟駅に到着すると、あたりはまだ真っ暗。春先のまだ雪の残る中、凍えるようにして近くのコンビニに駆け込み、カップ酒を一本買って万代橋へと向かった。夜明けとともに水際に浮かぶ優美なシルエットは、ただ美しいと称するほか無く、語彙の少なさを憾んだものである。
 現在の萬代橋は、3代目の橋として1929(昭和4)年に建てられた鉄筋コンクリート造6連のアーチ橋であり、2004年に国の重要文化財に指定されている。昭和初期に現在の自動車4車線の幅を持つ橋が架けられたのは極めて異例であったが、これは設計当初は路面電車が通ることを前提としていたからである。今年(2016)久々に訪れたが、やはり美しさは昔と全く変わっていない。
 実は、福岡市東区にある名島橋と姉妹橋の協定を結んでいることは、それほど知られていない。福岡と新潟とをつなぐ橋を介した交流はむしろこれからの話になるだろうか。
 
 
 
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▲萬代橋(1929年竣工)新潟市中央区