柳宗悦
無対辞の思想

四六判/308ページ/上製
978-4-86329-168-3
定価 2400円 (+税)
2018年4月発行
紹介

「民藝」の美の発見者にして日本民藝館の創設者が唱え続けた〈一(いつ)なる美〉〈一(いつ)なる思想〉の核心に迫る。
 柳宗悦は「民藝」の美の発見者として広く知られてきた。しかし不思議なことに、彼自身が唱え続けて止まなかった無対辞の「一」なる思想、すなわち存在するものの一切を全肯定する思想が顧みられるようなことはほとんどなかった。
 民藝とは「一(いつ)」なる美(=根源的美)の提示であった。その民藝の思想の核心にあったのは、世界を美醜正邪に分けて二元的にとらえる近代思想を超えようとするものだった。柳の思想的営為を、作陶の実感を踏まえながら熊本県菊池在の陶工が辿った画期的な一冊。

目次

[目次より]

【Ⅰ】 永遠相に生をみつめて

  第一章 文学・芸術・哲学
     ホイットマン『草の葉』/「革命の画家」―後期印象派

  第二章 神秘主義
     ブレイク―「かの美」の眺め

  第三章 工芸美の発見
     民族固有の美/朝鮮の友へ

【Ⅱ】 此岸の浄土

  第四章 民藝―「文字なき聖書」
     木喰仏の発見/ナショナリズムの時代/進歩主義と民藝論

  第五章 民藝運動
     「公有」の蒐集/日本民藝館

  第六章 此岸に彼岸をみつめて
     沖縄の富/「美」と「信」の故郷

 【柳宗悦年譜】

著者

松竹 洸哉

まつたけ・こうや

1946年、福岡県八女郡(現筑後市)生まれ。職業遍歴を経て福岡県小石原焼早川窯、ついで上野焼英興窯で焼き物の修行をする。熊本県菊池市で窯を営む陶工。
陶磁器関係論文・エッセーに「富本憲吉論―工芸と思想」「茶碗屋と前衛・八木一夫論」などがある。