連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.06.18

file52 三井化学J工場

市原猛志
 
【1938年竣工/福岡県大牟田市/鉄筋コンクリート造6階建】
 
 建物における、いわゆるモダニズムと呼ばれる様式には、いくつかの鉄則があるが、その最たるものに構造と機能の一致が挙げられる。建物がその要求される機能を満たすために必要な仕組みがそのまま構造として顕れている、そのような建物は、見ていてすっきりとしており、単なる四角い箱とは一線を画する独特の美しさがある。
 九州におけるモダニズム建築の中で一番好きな建物が、この三井化学J工場である。まずその雄大な規模は見る者を圧倒させる。一層ごとの階高が6メートルと非常に大きいが、これは化学工場ならではの機械設備類を内包するためであり、またカーテンウォール構造となっていて、採光のために用いられた連続水平窓は、外観の明快さを際立たせている。石炭産業がいずれ衰退することを見越した三井財閥の総裁團(だん)琢磨(たくま)が、石炭を利用した化学産業の育成を行った結果、炭鉱閉山後の今でも大牟田には多くの工場が稼働しており、この建物も團琢磨の遺産と言えよう。市内の多くの場所で見ることができるその偉容はまさに工場城下町のランドマークである。
 
 
 

▲三井化学J工場

 
 
 

▲カーテンウォール構造で大きく取られた窓部分

 
 

▲市内の公園からの遠景。このように市内の多くの地点からJ工場を望むことが出来る

 
 
 

こんなのもアリマス

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