連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.08.03

file54 帝国麦酒門司工場醸造棟

市原猛志
 
【1913年竣工/北九州市門司区/煉瓦造・鉱滓煉瓦造7階建】
 
 最初に見たとき、多くの見学者がその姿に圧倒される。煉瓦造でこれだけの階層をもった建物は日本において稀有であり、今では建築基準法上建てることが困難となっている。そのたたずまい自体が貴重な産業遺産といえる。これだけの階高である理由は、土地の有効活用という一面ともうひとつ、原材料から製品を生み出すまでの輸送手段に重力を利用した、いわばエネルギーの省力化を狙った構造となっているからだ。形が建物の機能を示しているという意味では、意匠としての美しさとともに機能美をも兼ね備えた施設とも言えよう。
 海から見える姿も美しい。この建物を建設したのは神戸の新興財閥であった鈴木商店。当初はサクラビールというブランドで、ここ門司大里地区においてビールを生産し、戦後はサッポロビールの九州工場として2000(平成12)年まで生産を続けていた。現在は周辺エリアにおいて土地区画整理事業が行われた際のシンボルとして静態保存されており、年2回程度一般公開が行われている。時折私もガイドとして案内することもある、何かと縁のある施設となった。
 
 
 

▲帝国麦酒門司工場醸造棟

 
 
 

▲JR門司駅に近接し、区画整理エリアの中心に位置する

 
 
 

▲製造設備の特殊性から裏面は複雑な構成を採っている

 
 

▲工場夜景

 
 
 

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