連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.08.20

file55 九州鉄道尾倉橋梁

市原猛志
 
【1890年竣工/北九州市八幡東区/煉瓦造】
 
 関西から知人が訪れるというので、地元北九州の中でもとりわけ奇観とも言うべき産業遺産を案内しようと車の助手席から色々とガイドした。まず訪れたのが、古くからある住宅地の一角に突如として現れるアーチ橋。なんと、橋の上に家が建っている。
 ここはかつて鉄道線を道路に転用した際、広い橋梁幅の一部を民家に転用しており、国内でも類を見ない民家敷地と道路との併用橋となっている。路盤上に登って東西方向を見るとなるほど傾斜が緩やかでかつて蒸気機関車が通っていたことを感じさせる。
 この橋梁はもうひとつの特徴として将来の拡幅を見越して付けられた「下駄っ歯」と呼ばれる市松模様のギザギザな構造が付けられており、特異なパターンがてんこ盛りな物件と言えよう。
 私はこの橋を、水の都ヴェネツィアにある屋根付き橋の代表例になぞらえて、北九州のリアルト橋、と勝手に呼んでいるのだが、考えてみればこの橋の下は道路が通っていて、水とあまり縁がない。やはり、類似例がなかなか思いつかない、希有な橋梁だ。
 
 
 

▲九州鉄道尾倉橋梁

 
 
 
 

こんなのもアリマス

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