連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.08.30

file56 河内貯水池

市原猛志
 
【1927年竣工/北九州市八幡東区/コンクリート造石張】
 
 関産業用ダムは全国に数多いが、それに美観を兼ね備えたダムはどのくらいあるだろうか。この施設は八幡製鐵所の第三次拡張計画の一環で製鉄業に必要な水源の確保のために作られた貯水池で、1927(昭和2)年に竣工したコンクリート製重力式ダムである。
 訪れた方々が賛嘆するところは、堰堤表面部分にふんだんに自然石が用いられていること。管理事務所含め周辺のいくつかの施設はやはり自然石が貼られており、緑多き周辺との調和がなされている。ダムの水源は、竣工当初は官営八幡製鐵所、現在も後継の新日鐵住金八幡製鐵所専用の貴重な水源として使用されており、自然石の多用は製鐵所がこの河内地区を社員のレクリエーションエリアとして整備した一環として、整備したものである。これらを一体的に設計・指揮したのが京都帝国大学第一期卒業生で製鐵所土木部長の沼田尚徳。沼田は河内地区のほかにも自然石を多用した多くの土木施設を建設しており、製鐵所施設の世界遺産登録を機に改めて貴重な観光資源として注目されつつある。
 
 
 

▲河内貯水池

 
 

▲手前側にあるアーチ橋下は余水吐(撮影2011年9月撮影)

 
 

▲1953年の水害により崩壊した三方弁室

 
 

▲曝気のために設けられた亜字池(2011年9月撮影)

 
 
 

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