連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.09.12

file57 南河内橋

市原猛志
 
【1925年竣工/北九州市八幡東区/鉄骨造レンティキュラートラス】
 
 河内貯水池の見どころは、自然石で装飾された堰堤や橋だけではない。貯水池を南北部に隔てる中間地点にダム湖がややくびれた場所があり、この東西間を結ぶ橋梁として、鮮やかな赤みを帯びた南河内橋が架けられている。
 この橋梁の特徴は、見た目にも複雑なトラス構造にある。凸型レンズをふたつ並べたような構造はその形自体が橋に掛かる加重を左右に分ける形となっており、中央部分にはピンが取り付けられている。横から見た橋の形が魚に似ていることから、魚形橋とも呼ばれる。このトラス構造「レンティキュラートラス」はかつてアメリカの橋梁会社が特許を持っていたもので、20世紀初頭に世界各国でこのタイプの橋梁が多く架けられていたようだが、トラスを構成する橋の部材が多すぎることから敬遠され、多くの橋梁は架け替えられた結果、日本で現存する橋はここしかない、トラスとしての希少性と技術的な部分などが考慮され、2006年に国重要文化財に指定された。製鐵所が河内地区に作った唯一の鉄橋という意味でも、その意義は大きい。
 
 
 

▲南河内橋

 
 

▲ピントラスと複雑な部品構成が特徴

 
 
 

こんなのもアリマス

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