踏み絵とガリバー
鎖国日本をめぐるオランダとイギリス

四六判/220ページ/並製
978-4-86329-181-2
定価 1900円 (+税)
2018年10月発行
紹介

イギリス人作家のスウィフトはなぜ、『ガリバー旅行記』(1726刊)に、日本の踏み絵とオランダ人の話を登場させたのか。
あの夏目漱石も愛読し、誰もが知っている『ガリバー旅行記』に、踏み絵とオランダ人の話が出てくることはあまり知られていない。漱石もその〈第3篇〉は正当に評価していない。
全4篇からなる『ガリバー旅行記』の中で、特異な構成をもつこの〈第3篇〉に注目し、18世紀の江戸期(鎖国)日本とオランダの交易の実態、さらにイギリス・ポルトガル・スペイン各国間の外交覇権争いを多角的に描く異色の歴史書。

目次

【目次より】
第1章 舞台は東半球
   漱石と『ガリバー旅行記』

第2章 ガリバーを生んだ大航海時代(1)
   マニラと長崎の開港

第3章 ガリバーを生んだ大航海時代(2)
   オランダとイギリスの台頭

第4章 『ガリバー旅行記』第3篇
   踏み絵を嫌がるガリバー

第5章 「踏み絵」千里を駆ける
   みちのくに現れたオランダ人/オランダ人の踏み絵

第6章 英蘭戦争の果てに
   イギリスの挑戦/変化する踏み絵

第7章 事実は小説より奇なり
   漱石先生も筆の誤り/オランダ商館医と踏み絵

著者

松尾 龍之介

まつお・りゅうのすけ

昭和21年、長崎市生まれ。洋学史研究会会員。主な著書に『長崎蘭学の巨人―志筑忠雄とその時代』(弦書房)、『長崎を識らずして江戸を語るなかれ』(平凡社)、『幕末の奇跡―〈黒船〉を造ったサムライたち』『鎖国の地球儀―江戸の〈世界〉ものしり帖』(以上、弦書房)他。