連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.11.29

file60 三井串木野鉱山五反田会館

市原猛志
 
【1914年竣工/鹿児島県いちき串木野市/煉瓦造2階建】
 
 鹿児島では、煉瓦造で作られるような施設の多くが石造だと前回でも説明した。それは鹿児島では加工が容易な石材(溶結凝灰岩)が豊富に採れたという原因が一番に挙げられるだろう。しかしながら、例外も当然あるわけで、今回は石造の発電所と同時に鹿児島県では極めて珍しい煉瓦造の大規模建造物を見に来た。
 いちき串木野市は、串木野港のマグロが有名であるが、産業遺産研究者としては三井が経営している串木野金山も欠かすことが出来ない。この金山は1996年に一度休山、2009年に採掘を再開するなど稼働と休山を繰り返しているが、製錬施設は江戸時代の採掘開始以降継続して稼働しており、その敷地のほぼ中心部分に煉瓦造の五反田会館がある。瓦葺きの切妻仕上げとなっており、和様混在のコントラストもまた見どころと言えよう。もともとは発電所として作られ、現在はレクリエーションなどに使用されているそうで、赤い外観はかえって新鮮に映る。工場内部の施設見学は、通常なかなかハードルが高いが、ここでは串木野事業所内にある観音参拝の行き帰りに外観を見ることが可能なので、煉瓦好きの方には是非一度訪れてもらいたい。
 
 
 

▲煉瓦造建築の少ない鹿児島県にあって異例な規模を持つ五反田会館

 
 

▲工場の外部からでもその勇姿を見ることができる

 
 

▲やや煤けた外観は、戦時中の防空偽装によるものとみられる

 
 
 

こんなのもアリマス

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