その3 「花もいつの間にか咲いて」

 毎年のことながら、この季節になると「春は名のみの風の寒さや」という唱歌の歌い出しが自然と口をついて出る。
 気温もだいぶあがってきた。土中温度もあがってきただろう。「さあ」と思って畑に出ようとすると、寒の戻りで雪が降ったり、雨に見舞われたりで、思うにまかせない。
 久しぶりの陽光に誘われて出てみると、案の定だ。草たちの元気のいいこと、驚くばかりだ。いや草だけではない。わが野菜たちも緑が一段と濃くなり、フム、これは期待できそうだ。

▼エンドウのネットはいい加減。果たしてかれらが登れるか?

 とはいうものの、雪対策を怠ったので生育はいまひとつ。カブもあまり大きくない、小松菜も水菜も早くも董立ちしかかっている。ウーン、やんぬるかな! 期待は イチゴとエンドウ豆にかかるが、さて。ジャガイモはまだ芽をださない。

 予定していたサラダ大根とキャベツの種まきを終えて、まずは雑草にごあいさつだ。
 花壇のほうからとりかかるが、草の間からシャクヤクがちっちゃな赤い芽をのぞかせている。これをいためないようにそろり、そろりだから遅々として進まない。
 ふと、足元を見れば、おお! 可憐なるかな! 今年もスプリング・スター・フラワーが雑草のなかで咲き始めているではないか。風に乗ってやってきて、ここに根をおろし、わが二日酔いで溶けそうな脳髄をやんわりと鎮めてくれる。

 足元には梅の花弁がひとひら、ふたひら。梅がおわって、ボケが満開。真っ赤な花がちょっと目にきつい。まもなくアンズとコブシがピンクの競演を始める。
 去年のことだ。雑草や剪定した花木の山の処分に困って、ばかでかい穴を掘って埋めこんだ。その土盛りの中からチューリップが花開いてびっくりしたが、球根を掘り出すのを忘れていた。
 ところが、今年も4、5本も土の山から顔をだしている。なんとも元気がいい。掘り出せなくてご免なさい。いやかえってよかったか。

 しばらくは雑草と格闘の毎日となりそうな、今日このごろであります。

▲満開のボケの花