その18 わが庭の猛暑異変

 猛暑がつづく。いつまで続くこの暑さ。
 「野菜が高い。主婦が弱っている」と、連日のように都会の様子をテレビが伝える。
 長雨で……日照りで……と、いつもハンコで押したように野菜の高値が報じられる。
 「そりゃ、当たり前だ。野菜の出来、不出来が天候に左右されるのは大昔からだ。それくらい我慢しろよ!」
 爺はいつもそんなテレビをみて腹をたてていたものだ。
 ところが、さすがに今年の高値は尋常じゃないようだ。それだけ極端に葉物の出来が悪いのだろう。

 わが坪庭も同様だ。蒔いたはずのサラダ菜、ネギが発芽しない。やせ細った大根の葉っぱは虫に食われて気息奄々だ。キュウリも実つきが悪くなった。ナスビの花が枯れて落ちてしまう。
 受粉しようとしていたカボチャの雌花はみんな台風にたたき落とされ、さっぱりだ。

 植物だけではない。どうやら虫の世界にも異変が起きているようだ。蝉があまり鳴かないことは前回も書いたが、見かけるバッタやカマキリもなんだかやせ細って元気がない。
 去年、藤棚のフジの葉をふた晩で食い尽くした夜盗虫があまり現れない。数日前の朝、藤棚の下に糞が散らばっていた。「すわ、現れたか!」と、目を皿のように(どんな目だ!)して探し、やっとでかい奴を1匹捕まえた。プランターでは小さな奴を4、5匹捕まえて処分した。
 夜盗虫―このイモムシ、昼間は土中にいて夜になると這い出してきて葉っぱを食い荒らすから始末が悪い。爺の天敵だ。
 ところが、それ以来1匹も見かけない。夜になっても土の中が暑くて参ったかな?ならいいのだが……。

 いまの庭は少々殺風景だ。彩りがきわめて少ない。ダリアはしょぼんとしているし、狂い咲きのバラも花弁がやや小ぶり。
 ひときわ異彩を放つのが、サルスベリだ。小木3本がピンクの花をいつまでも咲かせていると思ったら、大木2本がいよいよ咲きだした。
 こちらは濃い赤。まるでわれひとり猛暑を謳歌している風情だ。

▲ひとり猛暑を謳歌するかの
ようなサルスベリ