その55 夕顔の花を愛でながら…

 暑い、暑い。とうとう日本は亜熱帯になったようだ。
 この暑さでは、日中の野良仕事は爺にはとうてい無理だ。
 で、この1ヵ月というもの日の出とともに起きだして畑に出る。
 当地の夏季の日の出はおおむね5時半ごろ。気温はまだ30度前だが、蚊はもう活動を始めているから、蚊取り線香持参だ。
 この1ヶ月は早朝の草取りが日課になってしまった。体が覚えこんでしまい、自然と5時には目がさめる。
 それから3時間前後びっしょり汗をかく。トマト、オクラ、ピーマン、キュウリを朝取りしてから草取りにかかる。ときにカラスがトマトやキュウリを食い荒らしている。
 彼らは爺より早起きだから防ぎようがない。というより防ぐ気もない。だってキャベツだって虫に食われ放題だからなあ。
 カモミールが枯れ始めて畑はいささか殺風景になった。ミントの花が咲き始めたが、なんだか頼りない。
「野菜の花のなかでもっとも美しい」というオクラの花。ハイビスカスに似て高貴な花柄だ。花の蜜が強いらしくアリンコが行列している。午後になると、花を閉じてしまう。
 夕方、再び蚊と戦いながらの水遣り。このころになると、やっと夕顔が純白の大輪の花を開く。日没前のほんのわずかな時間だけ花弁を開いてみせる強情っぱりな花だ。

(出雲在・三原 浩良老生)

▲虫食いキャベツ

▲薄暮に花開く夕顔