その78 野菜の不思議

 寒気去り、高温の日が続く。こうなると、花も野菜もここを先途と伸びる伸びる。
 毎朝、表情をかえてあらわれる。おそらく高速度カメラで撮影すれば、その動きははっきり写ることだろう。
 まずは花。バラが満開になった。ピンク、白、それぞれ色も形もちがうシャクヤクも満開。今年はとりわけ大輪が鮮やかだ。畑ではさほどでもないが、切花にして部屋に飾ると、なんともゴージャス、いちだんと映えてみせる。
 
 まあ、花自慢はこれくらいにして、野菜もすごい成長ぶりだ。
 まだかまだか、と催促してきたタマネギの葉っぱがやっと折れて倒れ始めた。早生種から掘りあげてみる。あんまり葉っぱの勢いがいいものだから、ひょっとしたら実は案外やせてるかも? と心配したが、そんなことはなかった。でかい、でかい。
 さっそく煮たり、生食で試食。うーん、甘露とはこのことか、甘い甘い。
 「早生より晩生が保存がきくよ」という種物屋のオヤジの助言にしたがってまずは早生を収穫。晩生はいましばらく待つ。
 
 毎朝、エンドウ豆も収穫する。朝どりのグリーンピースも甘い。
 となりのソラマメのサヤも大きく膨らんできた。ツンと上向きだったサヤがストンと下向きにかわる。収穫を催促するサインだという。
 それにしても、彼らはこうやって収穫を促すサインを送ってくるのだが、どこからそんな知恵がでてくるのだろう。爺には不思議に思えてならぬ。
 
 この季節、急成長は植物だけではない。虫たちもいっせいに土からはいだしてくる。
 毛虫をまいにち何十匹も捕殺する。なかには益虫もいるだろうが、刺されちゃかなわんからやっぱりなあ。畑に出れば、かならずどこか刺されている。虫さされの薬はこの時期必携だ。
 植物の急成長期は虫たちにとっても同じことなんだなあ。キャベツも白菜もほとんど食われてしまい、こちらの口に入るのはほんの芯だけ、お裾分けにあずかるだけだ。

(出雲在・三原 浩良老生)

▲満開のツルバラ

▲色も形も違うシャクヤク

▲ソラマメの不思議