紹介
昭和を戦前から生きた人と戦後から生きた人とでは、〈昭和〉という時代に対する認識のしかたがかなり違うのではないか。昭和12年生まれの著者は、「わたしにとっての戦後民主主義とは、帰するところ憲法九条につきる」という。民主主義、六〇年安保、水俣病事件、長崎大水害、中国残留孤児、普賢岳噴火、地方出版など、報道記者としての視点も混じえて、昭和という時代の節目をどのようにとらえてきたのか。本書は、戦争と戦争直後の精神的空気を直接に経験していない世代にこそ読んでもらいたい一冊である。
目次
序 章 生まれる前の昭和
第一章 銃後の子どもたち
第二章 子どもたちの八月十五日
第三章 「戦後」のはじまり
第四章 カオスのなかの新制中学
第五章 民主主義のレッスン
第六章 「六〇年安保」のかすり傷
第七章 熊本の駆け出し記者
第八章 水俣病事件に出会う
第九章 社会部と学芸部を往復
第十章 もの狂おしき長崎の夏
第十一章 天災のあとの人災
第十二章 地平に沈む「赤い夕陽」
第十三章 昭和の終焉と普賢岳噴火
第十四章 出版不況下の地方出版
終 章 帰郷、それから
著者
三原 浩良
みはら・ひろよし
1937年松江市生まれ。
松江高校・早大文学部卒。1961年毎日新聞社入社、長崎支局長、報道部長、特別編集委員などを歴任。1994年葦書房社長、2002年弦書房代表。2008年から松江市在住。著書に『熊本の教育』『地方記者』『噴火と闘った島原鉄道』『古志原から松江へ』。編著に『古志原郷土史談』『当世食物考』など。