file48 三井三池炭鉱三川坑

市原猛志
 
【1940年以降建造/福岡県大牟田市/木造平屋建施設他】
 
 港の次に訪れたのは、港に比較的近い位置に設けられたかつての炭鉱施設で、戦後最大の炭鉱事故で知られる三川坑であった。三井三池炭鉱のなかでもこの三川坑は、1997年に閉山されるまで主力坑として稼働していたため、構内には、斜坑と送風機室、さらに繰り込み場と事務所など当時の姿をとどめる施設がいくつか現存している。世界遺産の登録運動が進展し始めた2011年より期日を限定した公開が行われ、2018年現在では毎週の土休日に一般公開が行われるようになった。
 大牟田市が所有する炭鉱電車が、現在も使用されている炭鉱軌道敷近くの大浦地区から三川坑内に移設され、見学地としてはにぎやかになる一方で、現存する施設のうち、現存状況が思わしくない繰り込み場を解体撤去し、レプリカとして建物を整備する計画もあるという。ぜひとも充分な議論を尽くした上での、本物を希望して訪れる観光客の期待を裏切らない整備を望むばかりである。
 
 
 
48-1-三川坑事務所と繰込場-s

▲三川坑事務所と繰込場

 
 
48-2-移設された炭鉱電車-s

▲移設された炭鉱電車

 
 
 
48-3-一般公開前の三川坑入口(2009年6月撮影)-s

▲一般公開前の三川坑入口(2009年6月撮影)

 
 
48-4-三川坑斜坑坑口(2014年6月撮影)-s

▲三川坑斜坑坑口(2014年6月撮影)