file83 わくわくコマツ館

市原猛志

【2011年復元再築/石川県小松市/木造2階建】

 遊泉寺銅山調査の帰り道、時間ぎりぎりまで市街地を散策したいと思ったが、これを引き留めるような施設が駅前に林立している。かつての小松製作所本社施設群が工場跡地の整備に伴い企業博物館「こまつの杜」として整備、公開されているのだ。そこにあった事務所建築は、跡地整備の一環に伴って惜しくも解体されたが、往時の姿そのままに「わくわくコマツ館」として復元、平日に一般公開されている。焼き板仕上げの木造建築風のたたずまいは、古くからそこにあったかのごとき風格を持つ。周辺には歴史的な作業用車両が並び、コマツの歴史を今に伝える貴重な遺産となっている。
 企業博物館としての見どころは、大型ダンプカーの試乗体験だろうか。復元事務所建築のそれに匹敵する大きさの作業車930Eは、全高7.3m、車体重量は202tに及ぶ世界最大級のダンプトラックで、コマツのアメリカ合衆国イリノイ州の工場で生産され、鉱山などで活躍しているという。日本に輸入されている車両はこの一台のみで、企業博物館のシンボル的存在と言えよう。
 
 
 

▲かつての事務所を企業博物館として復元したわくわくコマツ館

 
 
 

▲国産最古のトラクター・T25

 
  

▲「こまつの杜」の目玉・930Eダンプトラック