本書は第34回(2021年度)和辻哲郎文化賞の最終候補となった作品。嘗ての長州藩であった山口県宇部市は、明治維新の震源地の一つでもある。世界への視点を持ち、進取の記性に富んだ風土の中で、産業、技術革新、伝統文化を「共存同栄」させた二人の巨人がいた。維新の精神を実業で体現し続けた実業家・俵田明(たわらだあきら、1884~1958)、いかなる様式にもとらわれないデザインを発想し続けた建築家・村野藤吾(むらのとうご、1891~1984)。彼らが描いた革新の姿を身近な街や人々の記憶の中に再発見するための一冊。◆当時の人々の精神を継承するにはどうすればよいのかを伝えようとする、著者のこだわりが光る力作。
【書評等掲載情報】
中国新聞2021年8月18日(水)付 佐田尾信作・特別論説委員
山口新聞2021年8月22日(日)付 中村亮太・記者
東京新聞2021年9月11日(土)付
中日新聞2021年9月12日(日)付
日本農業新聞2021年10月17日(日)付
西日本新聞2021年11月27日(土)付
日事連2022年3月号 神子久忠・建築評論家
I 未完の維新
II 二人の足跡 ●俵田明の巻/目黒の火薬製造所/二度目の洋行●村野藤吾の巻/様式の上にあれ! /タトリンの〈革命記念碑〉
III 渡邊翁記念会館 ピアノとハーモニカ/鷲とハーケンクロイツ/ファッショ座談会
IV 村野作品を俯瞰する 二代目宇部銀行/三階建ての挫折
V 戦後の風景 産業祈念像/ダムと観光
VI 継承される文化 宇部好楽協会/俵田邸と松田正平
堀 雅昭
1962年、山口県宇部市生まれ。著書に『戦争歌が映す近代』(葦書房)、『ハワイに渡った海賊たち』『井上馨〈開明的ナショナリズム〉』『靖国誕生〈幕末動乱から生まれた招魂社〉』『鮎川義介〈日産コンツェルンを作った男〉』『関門の近代〈二つの港から見た100年〉』『寺内正毅と近代陸軍』(以上、弦書房)などがある。
琴崎八幡宮物語 | |
靖国誕生 | |
関門の近代 | |
井上馨 | |
ハワイに渡った海賊たち | |
寺内正毅と近代陸軍 |