地魚は今…ルポ漁

272頁
9784863292321
定価 1900円 (+税)
2021/9/30発行
紹介

「旬の魚」あるいは「地魚」ということばには、地元の海の潮の香りや活きのよい鮮魚が跳ねる様子をイメージさせる力がある。本書は、その地魚が、いつどのように取られているのかを漁船に乗り込み、早朝の漁港へ水揚げされる現場を克明に追ったルポである。鮮魚売り場に並ぶ地魚は量も種類も減少しているが、それはなぜなのか。沿岸漁業はどうすれば持続できるのか。22種の地魚の話、さらに現実の海と漁師さんたちの仕事場の最前線を紹介する。

【書評等掲載情報】
みなと新聞2021年10月27日(水)付 
中国新聞2021年11月7日(日)付
日本農業新聞2022年1月30日(日)付

目次

第1章 豊かさと多様性
 湧く魚影 カタクチイワシ
 内海の高級魚 マナガツオ
 二回の旬 サワラ
〈取材余話〉 「競り」という異界
 黒いダイヤ クロマグロ
 おとりと挟み カワハギ
 新顔登場 アカモク
〈取材余話〉サザエの角と奥海
第2章 忍び寄る危機
 激減に打つ手は… タチウオ
 希少化する天然物 トラフグ
〈取材余話〉生涯現役
 減少の陰に餌不足か マダコ
 ブランドに陰り サバ
 値崩れした高級魚 マダイ
  〈取材余話〉回遊魚(1)
第3章 変わる環境
 暖海化の裏表1 アナゴ
 暖海化の裏表2 ハモ
 汽水域でも 青ノリ
〈取材余話〉回遊魚(2)
 シンコはどこへ イカナゴ
 回遊異変 ケンサキイカ
 地種求めて アサリ
〈取材余話〉所変わればイカの名も
第4章 伝統漁と漁師たち
 かごで取る コウイカ
 祭りは残った 浮き鯛
 はえ縄と斜面集落 アマダイ
 やぐらと四手網 シロウオ
 かなぎ復活 ワカメ
 新参者を支える ヒジキ
〈取材余話〉黒潮大蛇行と栄養塩
第5章 地魚の未来に向けて

著者

山城 滋

やましろ・しげる

1952年、山口県生まれ。中国新聞社の本社広島と支社局で自治、農山村、漁業などの問題に関心を持って記者活動。編集局長、備後本社代表を経て2017年から特別編集委員。共著に『海からの伝言―新せとうち学』(中国新聞社、1998)、『自治鳴動』(ぎょうせい、2003)、『ムラは問う』(農文協、2007)。

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