俳句は国境を越えて
One-Poem One-World

240頁
978-4-86329-260-4
定価 2100円 (+税)
2022年11月30日発行
紹介

俳句は、いまや〈世界文学〉と言ってよい。著者は国際俳句交流協会会員で、俳句と〈英語ハイク〉の双方を詠み、比較研究してきた英語学の専門家でもある。俳句が、世界の国々との文化交流・対話の〈橋渡し〉となり、共感と共生のヒューマニズムを呼び起こすことを願ってまとめられた本書の意義は大きい。夏目漱石が熊本時代に詠んだ俳句を厳選して句題ごとに分類、さらに英語詩(3行詩)へ訳した試みは画期的である。また、世界各地の愛好家が詠んだ〈英語ハイク〉を独自の観点で紹介した章は、俳句の世界を一気に広げてくれる。

【書評等掲載情報】
日本農業新聞20232年2月5日(日)付
西日本新聞2023年2月25日(日)付 能正明・記者
聖教新聞2023年1月31日(火)付
北海道新聞2023年1月8日(日)付 能正明・記者
熊本日日新聞2022年12月26日(月)付 鬼束実里・記者

目次

第一章 俳句は国境を越えて
    「俳句」と「ハイク」
    国境を越えて「季節感」
    五・七のリズムは元は歌であった
    美意識の根底にあるもの
    語には謂れ(語源)があるということ
    人情と非人情
    共感と共生の絆
    紋切型からの脱皮
    文化の接触・混淆・変容
    『グランド・ゼロの歌』より
    西洋の俳句受客
    タンカのこと
    子供の感性
    良寛の俳句
    同一俳句の三つの英訳
    リチャード・ライト
    拍(音節)のこと
    「一筆書きの文学」としての俳句
    詩学に裏打ちされて
    語の多義性
    ことばの比較文化

第二章 熊本時代の漱石俳句の英訳
    漱石俳句を英訳すること
    漱石俳句のユーモア
    学校(旧制五高)の風景
    地名を織り込む
    「寺の記憶」
    花を詠む(I)
    花を詠む(Ⅱ)
    漱石と音楽=和楽器の音色=
    俳句の中の人名
    俳句の中の昆虫
    グロテスクな虫(生き物)
    色・いろいろ(I)
    色・いろいろ(Ⅱ)
    食べ物・いろいろ
    お菓子あるいはおやつ
    数字の示すもの
    温泉(ゆ)のある風景
    漱石の病跡
    水・いろいろ
    音のある風景

第三章 時の記憶(作品抄)
    作品三十二句
    追記―双方向性の読み
    あとがき

著者

西川 盛雄

にしかわ・もりお
にしかわ・もりお

1943年生まれ。1969年大阪大学大学院文学研究科修了、1973年ミネソタ大学大学院留学、1985年英国ランカスター大学大学院留学。専攻は英語学/言語学・異文化理解。現在熊本大学客員教授/名誉教授、放送大学客員教授。主要論文・著書:『ラフカディオ・ハーン=近代化と異文化理解の諸相=』(編著、九州大学出版会)、『ハーン曼荼羅』(編著、北星堂)、『英語接辞研究』(開拓社)。

弦書房より発行の関連書籍

ラフカディオ・ハーンの英作文教育