現在も継承される、かくれキリシタン信仰の全容を明らかにする。「信仰を変容させた信者」という従来のイメージをくつがえし、長年の「かくれキリシタン」論争に終止符を打つ。
20年におよぶ多角的な研究から見えてきたのは、400年前の宣教師たちが日本人の精神と暮らしを理解して創出した「日本人のキリスト教」と、それを禁教の時代にも守り続けるために信者が選択した「信仰並存」という形だった。
250年にわたる禁教時代を越え、400年間変わらず継承された信仰の実像に迫る。
【目次より】
第一章 かくれキリシタンについての考え方
一 かくれキリシタンの捉え方
二 従来のかくれキリシタン理解
三 かくれキリシタン認識の問題点
四 かくれキリシタンとは何か
第二章 かくれキリシタン信仰の実相
一 平戸地方(長崎県平戸市生月島・平戸島西岸)
二 浦上(長崎県長崎市)
三 外海地方(長崎県長崎市)
四 五島地方(長崎県五島市・新上五島町)
五 下天草地方(熊本県天草市今富)
六 今村(福岡県三井郡大刀洗町)
七 千提寺・下音羽(大阪府茨木市
(それぞれの地域ごとに)歴史/信仰組織/聖地/信仰物/行事
/オラショ/他の宗教・信仰との関係
第三章 かくれキリシタン信仰の成立過程
一 信仰史の概要
二 キリシタンの組織
三 信仰施設・聖地
四 信仰具
五 行事
六 オラショ
七 他の宗教・信仰との関係
第四章 かくれキリシタン信者の経済活動
一 かくれキリシタン信者の暮らしの理解
「弾圧落ちのび説」とは何か
二 地域毎の生業・経済
第五章 イメージとしてのかくれキリシタン
一 キリシタン・かくれキリシタンイメージの変遷
かくれキリシタン像への違和感
二 「虚構のかくれキリシタン」の問題
終章 かくれキリシタンとは何か
総論
キリシタン信仰の成立とかくれキリシタン信仰の起源
「日本人のキリスト教」創出の果て
【関連資料】
中園 成生
1963年福岡県生まれ。平戸市生月島博物館・島の館学芸員。熊本大学文学部(民俗学)卒業。捕鯨史やかくれキリシタン信仰の調査・研究に取り組む。
著書に『鯨取り絵物語』(共著)『かくれキリシタンとは何か』(以上、弦書房)『かくれキリシタンの聖画』(共著、小学館)他。
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