市原猛志
【桑島記念館(1927年竣工)山形県長井市】
前回のまちあるき続編。朝食後の散歩を兼ねて、山形県長井市の商店街をうろついていると、商店街付設駐車場の一角に唐突として、古風なたたずまいを持つ2階建の洋館が現れた。駐車場には敷地に関わる痕跡もなく、何だろうこれは、と考えるほかにはない。玄関扉上部にはただ「桑嶋眼科醫院」との文字。しばらく周囲を見渡すと、ひとの背丈より少し低いくらいの「みずはの小道」と書かれた案内標識に解説パネルが付けられていた。それによると、建物は1927(昭和2)年に造られた眼科医院で、取り壊しの予定であったものを住民運動によって保存され、現在は市の指定文化財になっているとのこと。どうやら、建物自体は別の場所にあったものを曳家によって現位置に移されているようだ。
案内板に書かれた「みずはの小道」について。長井市は「最上川フットパス」として最上川沿岸の木道や砂利道など車の通りにくい細い道を活用したあちこち巡りながら歩くまちあるきコースをNPOなどと協力して設定しているようである。その案内板として「みずはの小道」があり、長井市には商店街のほかにも各箇所にルートが設定されている。こういった案内板が全国にも普及していくと、もっとまちあるきに親しむ人も増えてくるのではないだろうか。