市原猛志
【1964年/京都府宮津市/鉄筋コンクリート造4階建】
赤煉瓦ネットワークの全国大会が福井県敦賀市で開催されるのに合わせ、大阪から大回りして会場に向かう。新幹線ルートが宮津や舞鶴を通らない形で設定され、若狭湾沿岸でも東西でアクセスへの利便性はこれから変わっていくのだろうが、ここ宮津の街並みは、明治期からさほど変わらず落ち着いたたたずまいを見せている。
その中で、ある種異形とも言うべき建物が川沿いに立地している。川向こうから見ると豪華な規格の高速道路が途中であえなく建設中止になってしまったかのような、どこか増築の可能性を感じさせる鉄筋コンクリート打放しの外観は、無駄なものを削ぎ落としたモダニズム建築ならではのものだ。堂々たるピロティと横軸を強調したスタイルは歴史ある宮津の町にあって大胆ともいうべき建物だろう。これはどこかで評価されるな、と思っていたところ、いつのまにかDOCOMOMOに認定される堂々たるモダンムーブメントの建築として位置づけられてしまった。やはり自分以外にも建物に注目している研究者は多かったということか。
▲特異な外観の宮津市庁舎
▲大手川側から見ると川を跨いで増築できそうにも見える
▲玄関ピロティ部の奥は駐車スペースとなっている
▲角度によって変化に富み、見る者を飽きさせない