占領軍と引揚げ者がひしめいたモダン都市BEPPUの相貌――別府がBEPPUであった頃
別府がBEPPUであった頃
◆ 日本戦後史の空白を埋めるのは各地方に遺された戦後史である。東京中心の戦後史では、個々の住民が体験した戦後が見えてこない。
◆ 本書では、敗戦当時、陸海軍の保養所があった泉都・別府を中心に戦後史を再発掘した。
◆ 地域戦後史を東アジアの視野から再検証。
◆ 日本戦後史の空白が朝鮮戦争期(1950−1953)にあることを指摘。
◆ 地域戦後史を東アジアの視野から再検証。
◎第一章/戦後史へのアプローチ
寺山修司「祖国はありや」/戦後初の復員船「高砂丸」/雑誌「世界」の衝撃記事
◎第二章/「モダニズム都市・別府」
天才・油屋熊八/陸海軍の保養都市/「ミズーリ」号上の光景
◎第三章 占領都市「BEPPU」
「キャンプ・チカマウガ」/占領軍プレスコード/水上勉『木綿恋い記』
◎第四章 朝鮮戦争とBEPPU
消息不明の朝鮮渡航者/寺山修司の「母地獄」/「朝鮮戦争と日本」の真相
◎第五章 戦災孤児・混血児の別府
阿久悠・別府駅の光景/小郷穆子が語る「戦後」/『敵主力見ユ 小説帆足正音』
◎第六章 「煉獄」の引揚げ者
穐吉敏子と大迫正冨/別府の満蒙人脈/別府の引揚げ者群像
◎第七章 阿南綾の戦後
阿南家と太宰治/三鷹空襲の夜/昭和天皇と別府
◎第八章 「新生」の別府女性史
山田洋次「青春紀行」/水上勉の結婚/パラリンピックの源流
下川 正晴
1949年鹿児島県生まれ。大阪大学法学部卒。毎日新聞西部本社、東京本社外信部、ソウル支局、バンコク支局、編集委員、論説委員等を歴任。韓国外語大学言論情報学部客員教授、大分県立芸術文化短期大学教授を経て、日本近現代史、韓国、台湾、映画を中心に取材執筆中。
著書『私のコリア報道』(晩聲社)、『忘却の引揚げ史―泉靖一と二日市保養所』『日本統治下の朝鮮シネマ群像』『占領と引揚げの肖像BEPPU』(以上、弦書房)、論文「終戦時の陸軍大臣・阿南惟幾、遺族が語る自決七〇年目の真実」ほか。
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