《新装版》 ヤポネシアの海辺から
《対談》島尾ミホ 石牟礼道子

220頁
978-4-86329-261-1
定価 2000円 (+税)
2023年1月30日発行
紹介

2003年に小社で発行した島尾ミホ(1919-2007)と石牟礼道子(1927-2018)の対談を新たな装いで刊行。この二人の対話集は、現時点では本書のみ。話すことばと書くことばの違和感についてなど貴重な視点が多く収録されている。「ヤポネシア」という語の創出者・島尾敏雄の作品群を挟んで海辺育ちの二人が時空を超えて語りあう様子は、対談が行われた鹿児島県の吹上温泉・みどり荘という場所もあいまって、どの頁からも海と空のあいだから湧き上がる深く静かなことばが語りかけてくる。

【書評等掲載情報】
熊本日日新聞2023年2月3日(金)付 喜田彩子・記者
西日本新聞2023年4月1日(土)付 前山光則・作家
 

目次

ハレの日の賑わい
奄美の正月料理  豊かな海の幸  男が作る正月料理
聖なる水の感触  年の祝いの準備  ハレの日の感覚
声が伝える思いの深さ 
神に唱えて遊ぶ  文字にしにくい肉声  南島歌謡の世界
テレビが変える日本人の表情  鳥だちと心通わせる

『死の棘』の内側 
『死の棘』の完成まで  島尾文学の内殿
血肉化したふるさと  作品を通して夫と対話
神話的世界の葛藤  神が作った国

海の声
神が上がってくる渚  ヒルギ林の満潮の夜  変質と喪失
誇れる自然との共存  感性はぐくむ自然

ふるさとに住む、ふるさとを書く
安住の地を求めて  トントン村のこと ふるさとで暮らしたい  聖域としてのふるさと

男・女・夫婦
それぞれの夫婦のかたち  男の役割・女の役割
ほんとうの豊かさとは

血肉としての信仰 
二度の結婚式  得度と法名  雑念をしずめるお経
宗教以前の世界  海山の精との交響

書き残していること
未完の絶筆を書き継ぐ  『苦海浄土』の完結を

著者

石牟礼 道子

いしむれ・みちこ

1927年、熊本県天草郡(現天草市)生まれ。
1969年、『苦海浄土―わが水俣病』(講談社)の刊行により注目される。
1973年、季刊誌「暗河」を渡辺京二、松浦豊敏らと創刊。マグサイサイ賞受賞。
1993年、『十六夜橋』(径書房)で紫式部賞受賞。
1996年、第一回水俣・東京展で、緒方正人が回航 した打瀬船日月丸を舞台とした「出魂儀」が感動を呼んだ。
2001年、朝日賞受賞。
2003年、『はにかみの国 石牟礼道子全詩集』(石風社)で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
2014年、『石牟礼道子全集』全十七巻・別巻一(藤原書店)が完結。
2018年2月、死去。

島尾 ミホ

しまお・みほ
しまお・みほ

1919年奄美群島加計呂麻島生まれ。作家。