すべって転んで文学県。豊前と豊後、二豊の国・大分への限りなき愛郷心が「私」を動かし、映画や文学作品に刻まれた言葉の力をていねいに掬い上げた192の随想録。
明治から令和まで、150年という時間をふり返る。その時間は、現代を生きる「私」と、どうつながっているのか。大分ゆかりの人々――福沢諭吉、滝廉太郎、柳田国男、菊池寛、種田山頭火、柳宗悦、織田作之助、川端康成、阿川弘之、稲尾和久、埴谷雄高、佐木隆三、松下竜一、松本清張、黒澤明、司馬遼太郎、遠藤周作、村田喜代子、小林秀雄、葉室麟、石牟礼道子、町田そのこ…他100名余
Ⅰ 明治・大正期
明治編
福沢諭吉「中津留別の書」/国木田独歩「欺かざるの記」/徳富蘆花「灰燼」/滝廉太郎「荒城の月」
大正編
菊池寛「恩讐の彼方」/柳田国男「海南小記」
Ⅱ 昭和期
戦前編
種田山頭火「行乞記」/与謝野晶子と鉄幹/火野葦平「中津隊」
戦後復興期編
織田作之助「怖るべき女」/川端康成「波千鳥」/阿川弘之「雲の墓標」
高度経済成長期編
埴谷雄高「日田―重労の響き」/高倉健 映画「網走番外地」/松下竜一「豆腐屋の四季」
経済安定期編
佐木隆三「復讐するは我にあり」/松本清張「安心院」/黒澤明監督 映画「乱」
Ⅲ 平成・令和期
平成前期
遠藤周作「王の挽歌」
平成後期
町田そのこ「 52ヘルツのクジラたち」ほか
矢野 寛治
1948年大分県中津市生まれ。成蹊大学卒。博報堂OB、西日本短期大学非常勤講師。新聞・雑誌にエッセイ、映画評や書評を連載。著書に『なりきり映画考』『団塊少年』(書肆侃侃房)『伊藤野枝と代準介』『反戦映画からの声』『団塊ボーイの東京1967-1671』(弦書房)などがある。
団塊ボーイの東京1967-1971 | |
反戦映画からの声 | |
伊藤野枝と代準介 |