世代をこえて、戦争の記憶を物語る。42本の反戦映画がリアルに描く戦前・戦中・戦後の実相を読み解く。
時代はいつでも、小さなことがきっかけとなり、全体主義の貌に変わりうるということを過去の反戦映画を読みとくことで伝える。思想弾圧、戦中の狂気、特攻という悲劇、ヒロシマ・ナガサキ(原爆)、戦後難民となった引揚者、8・15から東京裁判――42本の反戦映画は活字とは違ったリアルさで戦争の記憶を物語る。人間性と平穏な暮らしを破壊して何も産み出さない〈戦争〉とは何なのか。国家と個人、権力と民衆に思いをはせて、平和を守る覚悟を新たにする願いを込めた一冊。
【目次から】
Ⅰ 戦争の記憶を呼びもどす反戦映画
1 思想弾圧の恐怖を伝える
「武器なき斗い」他2本
2 戦中の狂気を伝える
「真空地帯」他6本
3 なぜ特攻が必要だったのか
「人間魚雷」「回天」「月光の夏」他4本
4 末端兵は人間ではないのか
「野火」「軍旗はためく下に」他4本
5 原発のルーツ・原爆を直視せよ
「黒い雨」「第五福竜丸」他4本
6 戦後の難民となった引揚者たち
「流れる星は生きている」他3本
7 最大の戦争犠牲者・女性と子供たち
「キクとイサム」「大地の子」他5本
8 誰のための国家なのか
「東京裁判」他2本
Ⅱ 反戦映画を作った監督たち
市川崑、木下恵介、黒澤明、新藤兼人、降旗康男 他22名
Ⅲ 戦争の悲劇を演じた俳優たち
渥美清、奥田瑛二、乙羽信子、加東大介、上川隆也、
田中絹代、原節子、フランキー堺、三国連太郎、山田五十鈴 他34名
矢野 寛治
1948年大分県中津市生まれ。成蹊大学卒。博報堂OB、西日本短期大学非常勤講師。新聞・雑誌にエッセイ、映画評や書評を連載。著書に『なりきり映画考』『団塊少年』(書肆侃侃房)『伊藤野枝と代準介』『反戦映画からの声』『団塊ボーイの東京1967-1671』(弦書房)などがある。
団塊ボーイの東京1967-1971 | |
伊藤野枝と代準介 |