生きた言語とは何か
《思考停止への警鐘》

230頁
ISBN:978-4-86329-273-4
定価 1900円 (+税)
2023年9月30日発行
紹介

言葉を字義どおり真にうけてはいけない。言葉には、人に危機をもたらすものが多いからです。本書では、言葉には〈生きたもの〉と〈死んだもの〉があるということ、さらに言語が私たちの現実感覚から大きく離れ、多用されるとき、私たちの思考は麻痺する、ということを、ランボー、志賀直哉、レヴィ=ストロースの言語感覚を例にひきながら、わかりやすく解きあかしていきます。

試し読み

目次

第一章 数学の言語とランボー
1 数の概念
2 無理数の概念
3 ゼロの概念
4 複素数の概念
5 複素数の運命
6 イデオロギーの脅威
   7 ランボー

第二章 生命ある記号
1 はじめに記号ありき
2 ベルクソン
3 イメージと記号
4 デュルケーム
5 レヴィ=ストロース
6 トーテミズム記号学
7 詩歌を記号学で解く
8 科学を記号学で解く

第三章 死をもたらす言語
1 言語の恐ろしい力
2 科学文明の言語
3 現代世界の言語
4 私たちに何ができるか
5 文学は人類を救えるか?

第四章 志賀直哉と言語
1 意識とはなにか
2 言語と意識
3 志賀直哉の文法論
4 志賀文学のスタンス
5 「城の崎にて」
6 志賀直哉と日本語
7 国語問題
あとがき
参考文献

著者

大嶋 仁

おおしま・ひとし

1948年神奈川県生まれ。東京大学大学院博士課程(比較文学比較文化)修了。福岡大学名誉教授、日本比較文学会および国際比較文学会理事、からつ塾代表。大学在学中にフランス留学、以来、日本語・日本文学を外から見る視点を養ってきた。アルゼンチン、ペルーの大学、パリ国立東洋言語文化研究所で日本思想史と日本文学史を教えた後、福岡大学教授。
著書に『精神分析の都』(作品社)『福沢諭吉のすゝめ』(新潮選書)『ユダヤ人の思考法』(ちくま新書)『正宗白鳥』(ミネルヴァ書房)『日本人の世界観』(中公叢書) ほか。

弦書房より発行の関連書籍

メタファー思考は科学の母