「江戸という幻景」書評から

◇日経新聞「あとがきのあと」(2004年7月18日付)に著者のインタビューが掲載されました。

江戸期の人々の生きざまを通して「現代という一つの時代を相対化する目を持って欲しい」と語る。
今や世にあふれる“江戸再評価論”とは一線を画す。「江戸期を近代の発展の準備期間や理想的なエコロジカル社会として評価するのも、日本を停滞させた暗黒時代だと断罪するのも、現代の視点からしか過去を考えないという点では同じ」とする。青年期のマルクス主義への傾倒とその後の決別を経て、近代思想を独自の視点から研究してきた。現代を批判的に相対化する姿勢は一貫している。

◇日経新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」(2004年7月29日付)に掲載されました。選者は井上章一氏(風俗史家)。

歴史を現代人の思惑でもてあそぶ叙述にだけはすまいという意欲が、こちらへ伝わってくる。

江戸時代という〈どうしようもなく美しかった〉文明を生きた人々の風貌を鮮やかに描き出しており、…通底しているのは「どう“近代”を超えるか」という極めて現代的な問題意識だ。(読売新聞/2004年7月24日付)

「江戸は近代と違うから面白い。滅び去ったから面白い」。近代が切り捨てた価値観に、限りない甘露味を感じるのは著者ばかりではないだろう。読み進むうち、なんともいえぬ懐かしさや温かさを覚え、そんな心情に浸っている自分に気付き驚かされる。(読売新聞/2004年8月22日付)

◇「出版ニュース」(2004年9月上旬号)で紹介されました。

主に日本人による九十冊を超える著作からの引用を通して、滅び去ってしまった美しくて面白かった江戸を現出させている。…学術論文風の前著(『逝きし世の面影』)に比べ、本書は引用文を含め読みやすく工夫してあるので肩が凝ることもない。(古江研也氏・熊本電波高専教授/熊本日日新聞 2004年8月31日付)

◇毎日新聞「新刊じゃっく」欄(2004年9月17日付)で紹介されました。

◇「中央公論」(2004年11月号)で紹介されました。評者は桐山桂一氏(東京新聞記者)。