file3 羽陽銀行長井支店

市原猛志

【羽陽銀行長井支店(1934年竣工)山形県長井市】

 長井での「まちかどの近代建築写真展」開催時に、建築探訪仲間でまちあるきのプロとも言えるM氏より、長井市内の見どころを教示いただいた。長井市は、地域の代表的な駅である長井駅から南側が江戸時代から続く市街地であり、北側は明治期以降に新たに整備されたという。前回紹介した旧西置賜郡役所は駅の北側に位置しており、明治期に出来た官公庁街の中心的な役割を担っていたことになる。
 写真展の設営を終え、翌日の朝の時間を利用してまちあるきをしてみた。今回、市街地の事前情報をあまり持たず(そういった余裕がなく)、前日の指示があった南北の主要道に沿って歩くかたちをとってみると、目の前に不思議な建物が見えてきた。
 白亜の銀行建築、という言葉がぴったりとくる建物で、そのこぢんまりとしたたたずまいといい、屋上部に不用意に増築された部分がついている様といい、側面から見ると新興宗教の施設かと勘違いしてしまいそうだが、こちらは純然たる金融機関・羽前銀行の支店として年に建てられたものである。なるほど、こういった面白い建物との出会いがあるから、まちあるきはなかなかやめられない。
 
 
 
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▲羽陽銀行長井支店(1934年竣工)山形県長井市