見えないものを見るために――今も水俣病と向き合って生きている人たちの声に学ぶための入門書。
従来刊行されて来た水俣病関係の本は、発症とその被害状況を研究・報道・闘争・認定・補償などに分けてまとめられることがほとんどであったため、水俣病という全体像がつかみづらいということがあった。
本書は、その全体像をつかむための手がかりとして〈8のテーマ〉を設定し、ポイントになる用語には解説を付した。近代史を理解するうえで避けては通れない、この水俣病問題を、本書を入門書としてぜひ活用してほしい。その願いを込めた力作。年表付き。
【Ⅰ】 見えないものを見るために[8のテーマ]
1 サインを見逃すな
2 繰り返される不作為
3 少数を犠牲に多数を守る
4 予防に勝る対策なし
5 原因究明はゴールではなくスタートだった
6 「何人、いくらか」を繰り返す
7 言葉を心に沈殿させる
8 「仮」の状態から抜け出す
【Ⅱ】 見ていた世界を見るために
1 坂本しのぶさんと水俣条約
2 患者・浜元二徳さんの闘い
3 石牟礼道子さんの「眼差し」
4 コラム「水俣病展2017」
【Ⅲ】 孫に語る猫実験―公式確認(1956)前後を知るために
水俣保健所元所長・伊藤蓮雄
【関連年表】―事件を刻むために
高峰 武
1952年熊本県玉名市生まれ。早稲田大学卒。熊本日日新聞社編集局長、論説委員長、論説主幹を経て現在、論説顧問。著書・共著に『ルポ精神医療』(日本評論社)、『検証ハンセン病史』(河出書房新社)、岩波ブックレット『水俣病を知っていますか』『熊本地震2016の記憶』『8のテーマで読む水俣病』『生き直す 免田栄という軌跡』(弦書房)、『検証・免田事件[資料]1948年(事件発生)から2020年(免田栄の死)まで』(現代人文社)がある。
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