file66 山形県庁舎(文翔館)

市原猛志
 
【1916年/山形市/煉瓦造三階建】
 
 全国には様々な都道府県庁舎が建てられ、歴史的な建物の中には現役庁舎として、または保存の上新たな役割を与えられたものも多い。この建物は1975年に新しい庁舎へ機能移転したのちは文化財として保存の上、10年に及ぶ保存修理工事が行われた。1995年10月1日に「県民の郷土への理解を深め、また本県文化の振興を図るための施設」として「山形県郷土館」(愛称:文翔館)として開館、会議室やホールは一般に貸出してもいる。
 この山形県庁舎を壮大な煉瓦建築としてみることのできる方は、建築関係者またはかなりの煉瓦好きだろう。花崗岩で覆われた外壁は重厚でありながら、構造体である煉瓦を保護する役割をも担う。当然その分だけ手間がかかるため、比較的建築に手間をかけた近代においても現存数は限られている。そういった意味では、重要文化財への指定は当然といえる。前庭も広く、ロの字に構成された内部は中庭からの景色もここを日本と思わせない趣を持つ。
 
 
 

▲山形県庁舎(現・文翔館)

 
 

▲赤煉瓦がはっきり見える旧県議会議事堂

 
 

▲県庁舎3階にあるバロック様式の正庁

 
 

▲中庭部分は赤煉瓦の壁面で、異国情緒漂う