無償のボランティアと有償のボランティアは矛盾しているのでしょうか。ボランティア活動に生きがいを見つけて、長くその活動を続けたいと考える人たちにとって、「ボランティア」概念の拡大が必要だと考えるところから、本書はまとめられています。個人や非営利団体が継続的に活動を続けるためには、どういう枠組みを作ればよいのでしょうか。「労働」観、「仕事」観が崩れていく時代で、まったく新しいボランティアの見方を描こうという試みです。〈有償ボランティア〉という概念はなぜ必要なのでしょうか。
【書評等掲載情報】
西日本新聞2022年2月19日(土)付 上野千鶴子・社会学者
はじめに――まだ名づけられていない世界の中で
第一章 ボランティアと有償ボランティア――何が問われているのか
《コラム》ボランティアとインターネット—―無償と無料の革命
《コラム》「有償ボランティア」とその普及の実態
第二章 「有償ボランティア」は矛盾か――流山裁判をめぐって
《コラム》アメリカのボランティア政策
《コラム》アメリカの病院ボランティア・システム
第三章 「ボランティア」に突き刺さった二つの棘——パターナリズムと功利主義
《コラム》「ボランティア拒否宣言」について
第四章 「労働・仕事・活動」そして「天職」
《コラム》ボランティアの極北
終章 これからの世界へ向けて
《コラム》「快・利・愛・正」志向
あとがき――二つの中心をもつ楕円
安立 清史
1957年、群馬県生まれ。九州大学・大学院人間環境学研究院・共生社会学講座・教授。専門は、福祉社会学、ボランティア・NPO論。著書に、『福祉NPOの社会学』(東京大学出版会、2008)、『介護系NPOの最前線-全国トップ16の実像』(共著、ミネルヴァ書房、2003)、『ニューエイジング: 日米の挑戦と課題』(共著、九州大学出版会、2001)、『高齢者NPOが社会を変える』(共著、岩波書店、2000)、『市民福祉の社会学——高齢化・福祉改革・NPO』(ハーベスト社、1998)、『超高齢社会の乗り越え方』『21世紀の〈想像の共同体〉』(以上、弦書房)など。
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