大学と自治体の地域連携事例集5
大学生による地域活性化プロジェクト

100頁
978-4-86329-311-3
定価 2000円 (+税)
2025年7月30日発行
紹介

福井県知事であった西川一誠氏がその著書『ふるさとの発想』(2009)で、地域におけるつながりの再
生を語り、地域の衰退を背景にした新たな地域創生として「新しいふるさと」論を提唱した。現在、一般的
になった関係人口もその一つである。以来、15 年以上たった今でも地域は衰退し続けている。消滅自治体
の現実も目に見えるところにきている。一方で、新たにウエルビーイング(幸せに生きること)の実現も唱
えられており、まさに地域の存続が喫緊の課題となっている。そこで地域を復活させる要因として、社会関
係資本(ソーシャルキャピタル、以下、社会関係資本とする)の活用に注目が集まってきた。他者とつなが
っていること自体が個人の資産であり、地域の資源となる。その基本は互酬性(地域における信頼・規範・
ネットワーク)にある。社会教育を基盤とした「人づくり、つながりづくり、地域づくり」の循環が、地域
コミュニティにおける個人と地域全体のウエルビーイング向上をもたらす。現行の教育振興基本計画には、
「生涯学習及び社会教育(社会関係資本)を通じて、地域コミュニティを基盤としたウエルビーイングを実
現していく視点が大切」と記している。本冊子は、社会関係資本を活用して実施した大学と自治体の地域連
携の事例集である。学生(出身地を離れた)と地域は、まさに「関係人口」の創出に寄与したことになる。
学生と地域住民の協働が活発化することにより社会の効率性を高め、それが豊かな社会に繋がっている事
例である。(本書「巻頭論文」より)

目次

第1章 巻頭論文「社会関係資本とウエルビーイング」
第2章
 Ⅰ 大島プロジェクト(平成30 年度・令和元年度・令和2 年度)
 Ⅱ 地島プロジェクト
 Ⅲ 中間学

著者

山田 明

やまだ・あきら

一九六一年、福岡県福岡市博多区に生まれる。福岡教育大学大学院、九州大学大学院、米国プレストン大学大学院で研究。福岡教育大学をへて九州共立大学スポーツ学部・同大学院スポーツ学研究科教授。同大学地域連携推進センター所長。NPOサービス・ラーニング・フォーラム代表、公益社団法人福岡県人権研究所理事、北九州市社会教育委員等を務める。所属学会は日本教育学会、日本社会教育学会、日本生涯教育学会、日本生活体験学習学会、日本スポーツ社会学会。専攻は社会教育学(社会体育)、生涯学習論(生涯スポーツ)、スポーツ行政。主著は、『サービス・ラーニング研究~高校生の自己形成に資する教育プログラムの導入と基盤整備~』学術出版会(2008)、『改訂NIE(教育に新聞を)で町づくり』鳥影社(2015)、『教育の目的』櫂歌書房(2015)、『未来を拓くスポーツ社会学』㈱みらい(2019)、『「市民性教育」研究』鳥影社(2020)。事典執筆として「アメリカのサービス・ラーニング」、「NIE(教育に新聞を)で町づくり」、「福岡県岡垣町における大学と行政の連携」、「筑前大島における学生による健康スポーツで地域活性化」(『生涯学習研究事典』日本生涯教育学会)などがある。