殉空に散る B29と九大生体解剖事件序章とその後
B29と九大生体解剖事件序章とその後

176頁
978-4-86329-330-4
定価 1600円 (+税)
2026年4月30日発行
紹介

戦争の記憶の中でも特異な記録として知られている「九州大学生体解剖事件」。この事件については多くの記録集・著作が出ている。本書ではこの事件の前後を、新たな資料と取材によって九大へ連行されたB29搭乗員8名の名前をほぼ特定した。昭和20年5月5日、B29(二機)が大分県竹田市、宮崎県延岡市沖の日向灘に墜落し脱出した兵士たちを地元民はどう扱ったか。戦時の狂気がまねいた一連の騒乱・九大での事件の意味と命の尊さを問い続ける地域住民の活動や若い医学生たちの受けとめ方にも踏み込んで取材した労作。

目次

第一章 「超空の要塞」撃墜、落下傘降下
B29、九州本土を猛爆
交戦、滑空六分、搭乗員脱出
「鬼畜米英」、里人の大捜索
平原を必死で逃げる米兵
挟み撃ち万事休す、自決

第二章 追い詰める村人の暴力
猟銃、竹槍、大カマで一撃
〝おガクさん”の思いやり
殺したらダメだ!
田んぼに激突死
死亡米兵を陵虐

第三章 久住の里の惨劇
一九歳の紫電改パイロット
B29きりもみして墜落
機長、危機一髪の脱出
米機、日向灘にも突っ込む
福岡へ移送、そして九大へ

第四章 戦後の嵐と追悼
戦犯追及と真相究明
慰霊、追悼の動き
殉空之碑と鎮魂碑
平和への祈り
延岡でも戦犯追及

第五章 反戦と平和の願い
地域に湧き上がる祈り
タブーを越えて
追悼の日々
九州大学医学歴史館がオープン
戦争と医学を考える
【特別寄稿】九大医学部と生体解剖事件、負の遺産を未来に生かす  外須美夫

著者

荒牧 邦三

あらまき・くにぞう

1947年、熊本県生まれ。熊本日日新聞社社会部長、論説委員、常務取締役を歴任。前熊日会館社長。
著書に『満州国の最期を背負った男 星子敏雄』(弦書房)、『ルポ・くまもとの被差別部落』(熊本日日新聞社)、共著『ここにも差別が―ジャーナリストの見た部落問題』(解放出版社)などがある。