弦書房週報 第38号

▶世界記憶遺産―聞き慣れないことばです。筑豊・田川の山本作兵衛の炭坑画(およそ600点)や日記などがユネスコの《世界記憶遺産》に登録されました。あの炭坑画のすばらしさを味わうためには、田川市や香春町(かわらまち)、添田町など筑豊の街を訪ねてみなければなりません。絵は、記録のすばらしさを伝えると同時に、炭坑労働の過酷さも教えてくれます。筑豊の街には、今もその記憶の断片が遺っています。
『筑豊の近代化遺産』(筑豊近代遺産研究会、定価 2310円)、『〈写真記録〉筑豊・軍艦島《朝鮮人強制連行、その後》』(林えいだい、定価2100円)
▶「岳人」8月号で、精緻な多色刷の版画で日本アルプスやアメリカのヨセミテ、ヨーロッパアルプスなど、山のすばらしい風景を描いた吉田博(1876〜1950)の特集が掲載されます。明治の早い時期からアメリカやヨーロッパなど海外で評価され、今も吉田博の山の版画の人気は続いているようです。
『山と水の画家・吉田博』(安永幸一、定価2205円)、『〈山と人〉百話』(松尾良彦、定価2310円)
▶若松孝二監督による映画「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」が来年公開の予定。三島人気は衰えることなく続いています。戦後の日本という国の本質を見抜いていた作家の魅力と苦悩を浮きぼりにした『三島由紀夫と橋川文三〈新装版〉』(宮嶋繁明、定価2310円)もぜひご一読ください。
▶6月中旬から朝日新聞・夕刊の「ジャーナリスト列伝」に林えいだいさんが登場します。
▶法政大学教授、陣内秀信先生の著書『イタリアの街角から《スローシティを歩く》』(定価2205円)のカバーを飾る、写真家・鈴木知之さんの個展が開催されます。鈴木氏は「Parallelismo」(パラレリズモ)という、特殊な平行移動撮影法を用い、都市を絵巻物のように体験できる作品を制作しています。今回は南イタリアの街路をはじめ日本の街並みも展示され、パノラマ写真の新しい表現を楽しむことができます。
・会場:リコーフォトギャラリー RING CUBE/東京都中央区銀座5-7-2 三愛ドリームセンター(9F)/ 03-3289-1521
・日時:2011年6月8日(水)〜19日(日)/11:00〜20:00(最終日17:00まで)火曜休館/入場無料
〈詳しくは〉↓
http://www.ricoh.co.jp/dc/ringcube/event/parallelismo.html
ぜひみなさん、お出かけください。

◆ 今年の増刷のご案内◆
〈1月〉
『イタリアの街角から《スローシティを歩く》』(陣内秀信、定価2205円)【2刷】
〈4月〉
『北九州の近代化遺産』(北九州地域史研究会、定価2310円)【3刷】、『三島由紀夫と橋川文三〈新装版〉』(宮嶋繁明、定価2310円)
〈5月〉
『北緯37度25分の風とカナリア』(若松丈太郎、定価 2100円)【2刷】
〈6月〉
『江戸という幻景』(渡辺京二、定価2520円)【6刷】、『〈写真記録〉筑豊・軍艦島《朝鮮人強制連行、その後》』(林えいだい、定価2100円)【2刷】

(表示定価は税込)