弦書房週報 第43号

▶「福島自由人・第26号」(北斗の会発行)が届きました。「3・11―美しい自然と精神の継承を信じて」が特集されています。詩人の若松丈太郎さんも「人類は百万年もの〈存在する義務〉を果たせるか―いのちの継承と精神のリレーとを」という文章を寄せています。3・11から8か月が経ちました。ほとんど報道されなくなった「フクシマ原発」事故(または「フクシマ原発」事件)の実態を現地からの声として知ることができます。将来の見通しがまったくつかない現状を、「わたしたちは棄民されているのでしょうか。あるいはフクシマ死民なのでしょうか」さらに「フクシマ裁判を開廷することを提唱したい」とも訴えています。若松さんのひじょうに含蓄のあることばを紹介します。「いま、わたしたちのまえにあるのは、なにかの始まりなのでしょうか、あるいはなにかの終わりなのでしょうか。そのことを見届けることは文学が存在する意味のひとつなのでしょう。そのためには、見えないものを見、聞こえないものに耳をかたむけ、感じられないものを感じとることが求められていることでしょう」
▷▷『北緯37度25分の風とカナリア』『越境する霧』『なぜ水俣病は解決できないのか』

▶渡辺京二さんの新刊『未踏の野を過ぎて』が出来ました。あの名著『黒船前夜』以来単行本・単著としては久しぶりの本です。3・11以降、現代社会に対して言いたいことを過去に書いたものを集成する形でまとめています。世相評論集としては本書が最後のものとして位置づけているようです。
▷▷『江戸という幻景』『アーリモダンの夢』『近代をどう超えるか』(この本は今月増刷しました)

▶『魚と人をめぐる文化史』の書評が11月6日付で読売新聞に出ました。三浦佑之氏(立正大教授)の評です。意外に知られていない魚の食文化を九州から西洋までの広がりの中で論じた好著。
▷▷『不知火海と琉球弧』

(表示定価は税込)