占領下の新聞
別府からみた戦後ニッポン

A5判/230ページ/並製
978-4-86329-124-9
定価 2100円 (+税)
2015年7月発行
紹介

国破れて新聞あり。温泉観光都市として知られる別府(大分県)は、戦時中は温泉療養基地として機能し戦火を受けなかったため戦後はGHQ(連合軍総司令部)の米軍基地が置かれた。本書では、占領下の別府で昭和21年3月16日から昭和24年10月15日までに発行され、GHQの検閲を受け、米国メリーランド大学プランゲ文庫に収蔵された52種類の新聞を紹介、当時のニッポンの世相を読み解く。宗教、引揚者情報、医療、住宅、映画、風俗など様々な世相を報じる紙面から当時の日本人が何を思い、何を求め、何を考えていたか、記憶を呼びもどす貴重な史料集。その活字の向こうに地方の名もなき人々の声が聞こえる。

目次

[本書収録の主な新聞]
西日本医界/衛生新聞/万寿会ニュース/夕刊サンデー/ニュー映画タイムス/よなほり/泉都べっぷ/霊界通信/民主新聞/別府女専新聞/九州探偵新聞/産業新聞/西日本実業新聞/西日本観光ニュース/九州建設新聞/赤いゆけむり……他

【プランゲ文庫】
占領期にGHQの検閲を受けた後、その処分が問題となった膨大な出版物等(占領軍資料)は、歴史学者G.W.プランゲ博士の強い意志により勤務校のメリーランド大学へ送られた。これら処分を免れた歴史的価値の高い資料群が博士の名に因み「プランゲ文庫」と呼ばれている。収蔵資料のうち新聞1万8047タイトル、雑誌1万4799タイトルが含まれている。

著者

白土 康代

しらつち・やすよ

昭和22年、大分県別府市生まれ。九州大学大学院博士課程満期退学(フランス文学専攻)。大学非常勤講師、日本文理大学をへて、現在「大分プランゲ文庫の会」主宰。
「プランゲ文庫に見る大分県の活字文化と検閲 地方誌は閉ざされた言語空間に囚われていたか」(『インテリジェンス』20世紀メディア研究所)「大分プランゲ文庫の会」記録集1号~4号。