連載コラム: 『産業遺産巡礼』 2018.11.02

file59 九州電力大田発電所

市原猛志
 
【1908年竣工/鹿児島県日置市伊集院町/石造2階建】
 
 九州で近代に使用された組積材を、いくつかの地域文化圏に分けるとするなら、長崎や福岡、熊本など北部から中部まで幅広く普及した赤煉瓦と関門北九州エリアとその周辺域に集中的に作られた鉄鉱滓煉瓦、そして鹿児島と宮崎、大分・熊本の一部に普及した溶結凝灰岩が挙げられるだろう。中でも鹿児島における石造建造物の普及度合いはすさまじく、煉瓦造の建造物が極めて少ない、ということを博士論文において各県の近代化遺産総合調査報告書から検証したのは、もう8年も前のことになる。 
 そのような九州南部には、他地域では赤煉瓦で造るような発電所施設が、石材で作られているというので、現地の友人の車に乗り、向かった先は伊集院町。ここにはさらに島津家の家紋が堂々掲げられた、秀逸な石造り発電所施設が遺されている。マークが語るように元々は島津家の鉱山運営のための発電所であったものが、現在は九州電力が引き継ぎ、建物はそのままに現役で使用されている。堅牢なたたずまいには、近代の持つ威風堂々とした息吹を感じてならない。
 
 
 

▲大田発電所全景

 
 

▲切妻部分に堂々と取り付けられた島津家家紋

 
 

▲傾斜地に設置された現役の発電所のため、立ち入りは禁止されている

 
 
 

こんなのもアリマス

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