明治四年・久留米藩難事件

224頁
978-4-86329-263-5
定価 2000円 (+税)
2023年2月28日発行
紹介

明治2年、戊辰戦争が終結した後、明治新政府(官軍)の中心であった長州藩の中で正規軍以外の諸隊(奇兵隊など)として参加した兵士たちは、藩に尽力したにもかかわらず何の手当もなく切り捨てられた。この脱藩兵士たちの中で統率力のあった大楽源太郎を中心に多くの兵士たちが、親交のあった久留米藩に潜入、反新政府勢力として反乱を画策。これを匿った久留米藩を明治新政府が弾圧しようとした事件が〈久留米藩難事件〉である。従来その全容が未解明だったが、西南戦争まで各地で勃発した反政府行動の嚆矢となった事件の、全容に迫った労作。

【書評等掲載情報】
中国新聞2023年3月26日(日) 佐田尾信作・客員特別編集委員

目次

第一章 幕末期・久留米藩の特殊性―金鉱山と洋船を保有していた

第二章 明治四年・久留米藩難事件
 「応変隊」創設 
 「箱館戦争」での久留米藩
 旧奇兵隊士の潜伏が政府の問題となる
 「東京大会議」の四つの議題
 古松簡二
 水天宮の古松簡二の漢詩碑を読み解く
 古松簡二の人物像
 反政府事件の始まり
 奇兵隊の創設と反乱
 大楽源太郎の脱走
 久留米に潜伏する大楽源太郎
 武士の論理で殺害された大楽源太郎

第三章 事件後の反政府事件―西南戦争をへて自由民権運動へ
 今井栄と久留米海軍
 久留米藩が抱える星野金山
 江碕済と久留米藩難事件
 久留米士族の福島県移住と大久保利通
 武田範之と玄洋社、黒龍会

第四章 事件現場を歩く

関連年表―明治四年・久留米藩難事件を中心に
久留米藩難事件処罰対象者

著者

浦辺 登

うらべ・のぼる

昭和31年、福岡県生まれ。福岡大学卒。日本近現代史を中心に研究、執筆、講演、史跡案内を続けている。著書に『太宰府天満宮の定遠館―遠の朝廷から日清戦争まで』『霊園から見た近代日本』『東京の片隅からみた近代日本』『アジア独立と東京五輪―「ガネホ」とアジア主義』(以上、弦書房)。

弦書房より発行の関連書籍

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