1998年に名著『逝きし世の面影』を世に問うてから昨2022年12月25日に逝去する直前まで、25年間続いた書簡の往来をまとめた一冊。〈知の巨人〉渡辺京二が晩年のこの期間にどのような道を生きようとしたのか、が浮かび上がる。その渡辺京二から「若き同行者」とも呼ばれた武田修志(ドイツ文学者)・武田博幸(ギリシア哲学、日本古典研究者)兄弟は、文学・歴史・思想の道を共に歩もうとした。彼ら3人は、その強い意志の交流を手紙文の形にして残した。「学ぶ」とはどういうことかを黙考せずにはおれないものが伝わってくる書簡集。
Ⅰ 一九九八年四月~二〇一〇年十二月/
*『逝きし世の面影』刊行前から『黒船前夜 ロシア・アイヌ・日本の三国志』刊行後まで
Ⅱ 二〇一一年一月~二〇一八年二月/
*『黒船前夜 ロシア・アイヌ・日本の三国志』刊行翌年から『バテレンの世紀』刊行後まで
Ⅲ 二〇一八年二月~二〇二二年十二月/
*石牟礼道子逝去後から渡辺京二逝去直前まで
最後の「旅の仲間」―あとがきにかえて
渡辺京二主要著書
渡辺 京二
1930年、京都市生まれ。熊本市在住。日本近代史家。主な著書に『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)『近代をどう超えるか―渡辺京二対談集』『もうひとつのこの世-石牟礼道子の宇宙』『死民と日常―私の水俣病闘争』『万象の訪れ-わが思索』『預言の哀しみ―石牟礼道子の宇宙Ⅱ』『江戸という幻景』『荒野に立つ虹』『未踏の野を過ぎて』『幻のえにし-渡辺京二発言集』『肩書のない人生—渡辺京二発言集2』『小さきものの近代』(以上、弦書房)『黒船前夜-ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞、洋泉社)『バテレンの世紀』(読売文学賞、新潮社)『原発とジャングル』(晶文社)など。
武田 修志
一九四九年、熊本県生まれ。九州大学文学部独文科修士課程修了。一九七五年から二〇一五年まで鳥取大学でドイツ語教師を務める。著書に『人生の価値を考える 極限状況における人間』(講談社現代新書・一九九八年、第七回山本七平賞推薦賞)、『人生を変える読書』(PHP新書)、『大学教育の現場から』(NK文庫)、『大学の片隅で 私の教養教育実践』(邑書林・二〇一五年)がある。
武田 博幸
1952年熊本県生まれ。九州大学大学院文学研究科(ギリシア哲学専攻)修士課程修了。博士課程退学。29歳から65歳まで河合塾国語科講師を務める。『読んで見て聞いて覚える重要古文単語315』(桐原書店)など大学受験生向け古文参考書を多数執筆。一般向けの古典入門書として『古典つまみ読み 古文の中の自由人たち』(平凡社新書)がある。現在、福岡県朝倉市に在住。