医師にして詩人。星雲のような人・丸山豊(1915-89)。いま、その声に耳を傾け、伝えようとしたこと、目ざしたものは何だったのかを山本源太・古賀忠昭・鍋島幹夫・松原新一 が縦横に語り合う。
《丸山豊》軍医としてビルマに従軍、戦後は開業医の傍ら、詩誌「母音」を刊行、谷川雁・森崎和江・川崎洋・松永伍一らを世に送り出した。戦争体験を主題に随筆「月白の道」(創言社)を出版、戦争を生きのびた静かな勇気の書として、今なお読み継がれている。詩人としての長年の業績に対し、平成3年「丸山豊記念現代詩賞」が創設された。
◉丸山豊が語る 「母音」創刊の頃/谷川雁との出会い/砲兵としての谷川雁 他 ◉丸山豊・人と文学 戦後の〈余生〉をささえたもの/丸山豊における孤独と他者への関わり/丸山豊との内なる対話/発見し、育てる〈教育者〉 他 ◉丸山豊を語る みんなの中で自分を磨いていく/現実の生き方と詩法/「真」を求める詩人 他 ◆丸山豊年譜付
松原 新一
1940年神戸市生まれ。2010年まで久留米大学文学部教授。著書に『沈黙の思想』(講談社)、『幻影のコミューン《「サークル村」を検証する》』(創言社)ほか。
山本 源太
1942年鳥取県生まれ。福岡県文化賞受賞(2008年)。詩集に『蛇苺』ほか。
古賀 忠昭
久留米市の故丸山豊氏に師事して詩を書き始め、70年代には詩集を相次いで刊行、「現代詩手帖」などに詩や評論を発表。その旺盛な創作活動が注目された。詩作をめぐるある事情のため筆を折り、以後詩作から遠ざかっていたが、『土の天皇』(1974年)以来30年ぶりとなる『血ん穴』(本書旧版)を小社より刊行した。
第17回丸山豊記念現代詩賞受賞
鍋島 幹夫
1947年福岡県生まれ。詩集に『七月の鏡』(H氏賞受賞)ほか。2011年逝去。
有明海の記憶 | |
長編詩 血ん穴<新装版> |