紹介
鮎川義介(1880~1967)は、満洲建国後、岸信介、松岡洋右、東条英機、星野直樹らとともに「二キ三スケ」と呼ばれ満洲政財界を統括した5人の実力者のひとり。
従来、鮎川義介については満洲時代を中心に語られることが多かった。本書では、戦前、戦中(満洲時代を含む)、戦後まで全生涯にわたって描いている。特に戦後、大企業中心主義から中小企業振興に尽力した功績は大きい。生涯を通じて、大衆(中産階級)を視座にすえて行動したことに光をあて、実業家・鮎川の実像に迫った労作。
目次
Ⅰ 山口での薫陶
キリスト教との出会い/井上馨の還暦記念
Ⅱ 反骨とアメリカ
第1回渡米-日本人ではじめて可鍛鋳鉄を学ぶ/第2回渡米-『人生の行路』
Ⅲ 北九州での拠点づくり
戸畑鋳物の創立/第3回渡米でのゲーリーとの出会い
Ⅳ 日産コンツェルンの誕生
北一輝と日本産業の出現/満州事変と日産コンツェルン
Ⅴ 満洲に向かうユートピア
キブツをモデルにした満洲重工業開発/日米戦回避の工作
Ⅵ 戦後に引き継がれたもの
巣鴨プリズン/戦後のテレビ放送と正力松太郎
補遺 夢の跡
・鮎川義介年譜
著者
堀 雅昭
ほり・まさあき
1962年、山口県宇部市生まれ。著書に『戦争歌が映す近代』(葦書房)、『ハワイに渡った海賊たち』『井上馨〈開明的ナショナリズム〉』『靖国誕生〈幕末動乱から生まれた招魂社〉』『鮎川義介〈日産コンツェルンを作った男〉』『関門の近代〈二つの港から見た100年〉』『寺内正毅と近代陸軍』(以上、弦書房)などがある。
弦書房より発行の関連書籍
井上馨 |