file17 カトリック瀬留教会

市原猛志
 
【カトリック瀬留教会(1908年竣工)鹿児島県大島郡龍郷町】
 
 奄美地区を代表する教会のひとつが、この瀬留教会である。1908年に竣工した教会建築が奄美大島に現存しているということで、何はともあれいちばん見たかった建物であった。今回奄美地区で紹介する施設群のうち、この施設のみが国の有形登録文化財となっている。
 外観だけで言えば、改装が著しいため、古い物かどうかなかなか判別尽きがたいが、内部は往時の雰囲気を留める三廊式の大きな造りを採っている。木造のほっとする内装であり、身廊と側廊とをわける柱には屋久杉が使用されている。竣工当時でさえも決して安くない、しっかりとした材料の採用からも、地域の信仰の深さを知ることが出来よう。
 天井は格天井であるが、上に載せられた天井板は格子を隔て互い違いに並べる形を取っており、見た目にも丁寧に仕上げをしている。なるほど奄美大島の教会ではあるのだが、どこか本州の寺院建築テイストをも感じさせる、不思議な建物と言えよう。竣工100年を過ぎ、今も大きく信徒の信仰を集めている。
 
 
 
カトリック瀬留教会

▲カトリック瀬留教会(1908年竣工)鹿児島県大島郡龍郷町