紹介
かじかむ指で海辺に転がる貝殻を耳に当てる
ちいさい頃に聴いた海の響きとは違う音がする
それは
「さみしい」
と言いつづけることにあきあきした少女が
世界中を吸い込もうとしている音だった(本文より)
「わたしたち きょうだけはあしたをむかえたい」
時をこえ、空間をこえ、記憶をこえて―――――つながる。
くり返す、新しい夜 二十五夜。
第三詩集にして、著者初の連作詩。
目次
【目次】
第一夜 ギギの出現 /第二夜 ミズカキクダサイ /第三夜 キリキリ姉妹 /第四夜 ハルナミノナミ /第五夜 ユスラウメ /第六夜 燃える骨 /第七夜 メロンソーダ /第八夜 耳を捨てに /第九夜 毀れた砂 /第十夜 クレマチス /第十一夜 カラスと老婆 /第十二夜 これは幻想なんかではない /第十三夜 おはよう明るい水 /第十四夜 白い夜 /第十五夜 真夜中の鐘 /第十六夜 星みたいな空腹を抱えて /第十七夜 黒い羽根 /第十八夜 繭のねむり /第十九夜 あ、ら、し、が、く、る /第二十夜 海岸線 /第二十一夜 森の匂い /第二十二夜 指と夜のあいだ /第二十三夜 ほそく光る銀いろ /第二十四夜 フンヌノ舌サキ /第二十五夜 わたしの言葉と花びらが
著者
浦 歌無子
うら・かなこ
福岡市生まれ。著書に『耳のなかの湖』(2009年、ふらんす堂)『イバラ交』(2013年、思潮社)『深海スピネル』(2015年、私家版)など。