維新の残り火・近代の原風景

240頁
9784863292086
定価 1800円 (+税)
2020年6月30日発行
紹介

私たちの近代はどのように始まったのか――

幕末維新期の足跡は、現代と過去とをつなぐ大火の残り火のように各地に燃えつづけていた。

維新で勝者となったはずの長州では、戊辰戦争後に使い捨てにされることに抗議して討伐された兵への追悼が今も続いている。また、東北では〈近代の夜明け〉ではなく、官軍から朝敵とされ続けた苦しみの中にあり、敗者の側に立った歴史観に共感の声が寄せられた。

本書は、〈維新〉という生きている歴史の現場を歩いて現地の声に耳を傾けた出色の「維新史ルポ」である。

目次

第一章 グローバリゼーション   
黒船の日本人 サム・パッチこと仙太郎   
文明開化の体現者 岸田吟香   
伊能図を完成させた男 箱田良助

第二章 ナショナリズムとテロリズム   
対外危機と真宗説法 僧月性   
排は開なり 攘夷藩の論理   
七卿落ちの絵 入れ替わる朝敵

第三章 敗者の系譜   
幕長戦争2 戦意も民衆支持も欠く幕府軍   
会津の義 長州遺恨の虚実   
白河踊り伝 奥州から長州へ   
裏切られた御一新期待 隠岐騒動 

第四章 近代の原風景   
大政奉還と武力倒幕 薩長芸同盟   
新政にあらがう農民 武一騒動   
民権とジャーナリズム 野村文夫と団団珍聞   
江華島事件からの近代 歴史問題という呪縛  
他 

著者

山城 滋

やましろ・しげる

1952年、山口県生まれ。中国新聞社の本社広島と支社局で自治、農山村、漁業などの問題に関心を持って記者活動。編集局長、備後本社代表を経て2017年から特別編集委員。共著に『海からの伝言―新せとうち学』(中国新聞社、1998)、『自治鳴動』(ぎょうせい、2003)、『ムラは問う』(農文協、2007)。

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