紹介
伊藤常足(1774-1858)は現在の福岡県鞍手郡の神職で、本居宣長門下の青柳種信に学んだ国学者であった。『太宰管内志』八十二巻をはじめとする多くの著作を残すかたわら、生涯を過ごした筑前・遠賀郡流域の人々に古典と作歌を指導し、近世の地方文芸史に大きな貢献をなした(その門人には「東路日記」の小田宅子など女性が多くいたことも特徴的である)。
本書はその伊藤常足を中心に、常足と交流の深かった筑前の雅人たち-大隈言道の従兄で俳諧・和歌に親しんだ大隈(熊)言足〈米屋清蔵〉、黒田藩士山路家の人々ら-の生涯や彼らの旅日記、歌集等の翻刻を交えて、近世地方文芸・文化史における市井の人々の残した足跡をたどる。
目次
【目次から】 ・伊藤常足と商人米屋清蔵-常足文政六年の旅/・伊藤常足と福岡藩士たち-山路家の人々を中心に 〈翻刻〉 ・大熊言足記行(米屋清蔵著)/・山里日記(伊藤常足著)/・やちまたの日記(伊藤常足著)/・天保十一子歳十月立花家会/・伊藤常足追悼歌集 まとのゆき(窓迺雪)(山路重固編)/・あさくら日記(山路重固著)
著者
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