「季語別 岡部六弥太全句集」書評から

1926生まれ、終戦の年の1月に門司港より釜山へ、そして新京へ。終戦後、捕虜収容所を脱走、引き揚げ。以後の激動の戦後復興期……。この全句集は、まさに「昭和の子」の歴史と言える。
平らかならざる人生の刻々を、率直に喜び、全霊をもって嘆きつつ諷詠し続けた強さを、この分厚な一集は熱く伝えてくる。「俳句」への、全幅の信頼の一書といえよう。(寺井谷子 『自鳴鐘』発行人/朝日新聞「文芸リポート」欄 2004年6月26日付)

季語千四百余、収録句五千八百余、「諷詠六十年の集大成」である。「時代を写し、人間を謳う」全篇三百三十頁の質と量に圧倒される。(岩岡中正 熊本大学教授・俳人/読売新聞 2004年7月30日付)