日韓メモリー・ウォーズ
私たちは何を忘れてきたか

四六判/160頁/並製
978-4-86329-156-0
定価 1700円 (+税)
2017年9月発行
紹介

〈ずれ〉と〈ゆがみ〉の根源へ――日本と韓国の間に横たわる認知ギャップを探る。
『帝国の慰安婦』の著者・朴裕河(パク・ユハ)氏が騒動の最中に登壇。自著について、過去とこれからの日韓関係について、上野氏らと語りあったシンポジウム(2016年3月)をもとにまとめた一冊。植民地時代、冷戦時代、ポスト冷戦時代、そして現代――揺れ動いてきた日韓関係。慰安婦や領土問題を政治、文化、メディア、インターネットなどのキーワードで読み解く。「真実は何かに執着するより、共有しうる事実を〈どう考えるか〉」

目次

【目次より】
◉日韓の現代史をふりかえって 【上野千鶴子】

◉〈帝国〉から見た日韓関係――暴力の構造 【朴裕河】
  1 日韓関係の現状
  2 記憶のずれと混乱――慰安婦問題の場合
  3 共通認識・共通記憶作りへ向けて

◉記憶と大衆文化――韓国における日本・日本人・日本文化 【金成玟】

◉若い世代の認識ギャップとメディアリテラシーの必要性について
                         【 水野俊平】

◉私たちは何を忘れてきたか〈パネルディスカッション〉
日韓蜜月時代から嫌韓への移行/互いの国民の顔が見え始めたのは90年代から/歴史における「真実」の自由な探求が大事/インターネットの影響力/民主主義が改めて問われている 他

著者

朴 裕河

パク・ユハ

1957年ソウル生まれ。韓国・世宗大学国際学部教授。慶應義塾大学文学部卒業、早稲田大学大学院で博士号取得。専門は日本近代文学。ナショナリズムを超えての対話の場「日韓連帯21」に続き「東アジアの和解と平和の声」を立ち上げ、市民対話の場づくりに取り組んでいる。著書に『反日ナショナリズムを超えて―韓国人の反日感情を読み解く』『和解のために』『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い』『引揚げ文学論序説 新たなポストコロニアルへ』など。夏目漱石、大江健三郎、柄谷行人などの韓国語翻訳も出版している。

上野 千鶴子

うえの・ちづこ

1948年富山県生まれ。東京大学名誉教授、立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。京都大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程修了。専門は家族社会学、女性学、ジェンダー論。著書に『近代家族の成立と終焉』『ナショナリズムとジェンダー』『差異の政治学』『生き延びるための思想』『おひとりさまの老後』『戦争が遺したもの―鶴見俊輔に戦後世代が聞く』(共著)『時局発言!』など。

金 成玟

キム・ソンミン

1976年ソウル生まれ。北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授。ソウル大学校言論情報学科修士課程修了、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。専門はメディア文化研究。著書に『戦後韓国と日本文化 「倭色」禁止から「韓流」まで』『東アジア観光学 まなざし・場所・集団』(共編著)『文化社会学の条件 二〇世紀日本における知識人と大衆』(共著)『越境するメディアと東アジア リージョナル放送の構築に向けて』(共著)など。

水野 俊平

みずの・しゅんぺい

1968年北海道生まれ。北海商科大学教授。天理大学朝鮮学科卒業。韓国・全南大学校大学院博士課程修了。専門は韓国語(朝鮮語)学。19世紀末~20世紀初頭の地図に記された地名を手がかりとして、朝鮮語古語の研究にも従事している。著書に『ソウルで学ぼう』『韓国の若者を知りたい』『韓国の歴史』『庶民たちの朝鮮王朝』『笑日韓論』など。